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テレビ会議システムで多元中継学習 方言や伝統工業を調べ、発表し合う |
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学校法人暁学園暁小学校教諭 |
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水谷浩三 |
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「最初はグー、イン・ジャン・チー!」―元気のよい各地方独特のジャンケンのかけ声が、
北は北海道から南は沖縄まで、全国九つの学校の会場に一斉に響き渡った。
そのかけ声に合わせ、九つに分割されたスクリーン上で
九つの学校の六百人以上の子供たちが一斉にジャンケンをした。
これは平成十年度から全国各地の学校を結んで実施している
遠隔地協働学習「キッズ・コラボレーション・プロジェクト」の一環で行われた
「全国多地点方言交流」のオープニングTV会議での「方言ジャンケンコーナー」の一場面である。
完全学校週五日制、総合的な学習の創設、教育のIT化と、学校は今、教育改革の真っただ中にある。
これからの子供たちの学びは、単に教室の一斉授業で知識を獲得していくだけでなく、
自ら学び、自ら課題を見つけ、自ら解決する「生きる力」を育成していくことが重要になってきた。
遠隔地共同学習のプロジェクト
この「キッズ・コラボレーション・プロジェクト」は、筆者が実際の研究会やインターネット上の研究会で知り合った教員ネットワークの中から誕生した。学校を、パソコンやテレビ会議システムなどを使って多元的に結び、このような現代の教育課題の達成に向けて知恵を寄せ合い、挑戦している。十年度に取り上げた「震災に学ぶプロジェクト」は、阪神・淡路大震災を忘れず、危機管理を考えようという趣旨でその後も毎年続け、十一年度からは「全国多地点方言交流」、今年度からは「伝統工業サミット」もテーマに加わった。いずれも身近なテーマばかりで、単に知識として身につけるだけでなく、自らの課題を調べて追求する体験学習と、遠隔地協働学習を通して「生きる力」を育み、子供たち自身が情報発信するとともに、自らを振り返り、同時に地域を見直す機会となるよう取り組んでいる。
今年度の「全国多地点方言交流」は沖縄の離島・多良間島も交え、福岡市、大阪市、名古屋市、石川県松任市、神奈川県藤沢市、東京都、北海道釧路市、そして筆者が関係する三重県四日市市と、広範囲からの参加があり、小学四年生を中心に、五年生、中学生、高校生も参加した異校種、異年齢、多地点の実にダイナミックな交流学習となった。
「桃太郎」をそれぞれの方言で
この協働学習は、ホームページや掲示板への書き込みを利用し、お互いに交流しながら進めた。子供たちの掲示板への書き込みも六百回を超え、活発な交流が行われたことがうかがえる。そして今年二月十四日には九校一斉に、さらには三月中に四校ずつの組み合わせで計四日、TV会議システムを利用し、お互いに顔の見える、そして表情の見える交流を行った。最後の成果発表TV会議では、自分たちで調べた方言をクイズにして出題したり、郷土文化の研究発表をしたり、共通課題として昔話「桃太郎」を方言に訳して発表したりして、各地方の方言や文化を楽しみながら味わった。
参加校の中で、島外に出るには十九人乗りの飛行機に乗って宮古島に飛ぶ(船なら二時間半)しかない沖縄の離島・多良間島の多良間小学校では、TV電話で島以外と交流できること自体が大変貴重な体験となった。
また、方言劇「桃太郎」は「せっかく勉強したのだから」と、島のお祭りでもヘビ年のお祝いとして上演されたそうだが、年輩の方や島を長年離れていて帰省した人が、涙を流しながら劇を見ていたそうである。子供たちが、今ではほとんど話せない、聞き取れない地元の方言を話して「桃太郎」を演じたからである。このような感動的な場面がわれわれのプロジェクトから誕生したことは大変嬉しいことであった。
また、成果発表TV会議では、島に伝わる「八月踊り」を、子供たちが踊って披露してくれた。担当の横田茂先生も、「今回の交流は子供ばかりか、島に与える影響はかなり大きいものがあった」と振り返っている。
福岡雙葉小学校では、博多どんたくの衣装を着てTV会議に登場し、お祭りの歌を披露し、郷土文化を他の地方へ紹介した。他の参加校の子供からは、「私も福岡へ行ったら、踊れますか?」と興奮ぎみの質問も飛び出した。
一方、大阪信愛女学院小学校では、大阪弁への愛着やこだわりがとても強く、楽しい大阪弁の桃太郎を披露してくれた。参加校の子供たちには、大阪弁の持つ軽妙なイントネーションが大変人気であった。
三重の暁小学校は、江戸時代のお伊勢参りの風習や三重の地理的条件を調べ、三重の方言があまり目立たない理由や、三重県人はすぐに他の地方の方言に慣れてしまう傾向があることについて発表した。
郷土を知り、他の地域を理解
情報通信網の発達などで、日本中どこの地域においてもオリジナリティが喪失していく中、遠隔地協働学習として方言を学ぶことにより、どの学校も体験を踏まえた深まりのある「調べ学習」となり、郷土を見直すよい機会ともなった。また、参加校の地方の方言を味わい、文化や歴史に触れ、視野を広め、お互いの良さに気づくこともできた。
また、昨年の参加ではあったが、仙台市のウルスラ学院小学校では、先生も子供たちも本来の仙台弁が話せず、年配の方々を学校にゲストティーチャーとして招き、昔ながらの仙台弁を実際に聞きながら、口伝で指導してもらって学習をしたということも思い出される。
どの学校でも、子供たちはテレビなどのメディアの影響で、言葉が共通語化してきている。今回方言を学習することで、地域の昔ながらの言葉や、それと一体化している郷土の風習などを見直す貴重な機会となった。
一方、子供たちは結構、自分は共通語を話していると思い込んでいた。他の地方の子供たちから指摘されて、実はその地方独特のイントネーションで話していることに気づく機会にもなった。
今後も「キッズ・コラボレーション・プロジェクト」を推進し、自分の郷土に関心を深める取り組みを広げたいと念じている。
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