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地方都市オーケストラの音よ響け
東京・墨田のホールで15楽団演奏

(財)墨田区文化振興財団事業企画員

上野喜浩

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 一九九七年十月、東京・錦糸町に「すみだトリフォニーホール」が日本初のフランチャイズ・オーケストラを持つホールとしてオープンした。
 このホールで九八年から毎年一〜三月に行われる「地方都市オーケストラ・フェスティバル」は、東京以外に本拠地を持つ十五のプロのオーケストラが参加する、まさに全国のオーケストラを網羅した連続演奏会である。私たちは、オーケストラの響きに込められた、日本各地の人びとの「心の音」に触れていただきたいという思いを込めて企画した。
 旅費はホール側が負担するという思い切った企画だ。参加オーケストラには自分たちを他のオーケストラと同じまな板にのせることで真剣勝負をし、東京という全国メディアの中心地で力量をアピールしていただいている。オーケストラメンバーの熱気がホールに充満し、聴衆はブラボーの連呼でこたえ、まるでステージと客席がガッチリ握手するような感動は、このフェスティバルならではの光景である。
 経済面での難しさと、芸術上の意義とのはざまで新しいフェスティバル像を模索する中、今年から二巡目(九八年から二〇〇〇年までの一巡目では十三オーケストラが参加した)に入り、仙台フィル、山形響、大阪センチュリー響、大阪シンフォニカー響、関西フィル、九州響、群馬響の七団体が熱演した。また、二巡目からは毎回、演奏会前に指揮者自らがオーケストラや当日の演奏曲目について話す「プレ・コンサート・トーク」がある。二月二十六日には、「フィルム&トーク」と題し、終戦直後の群馬響をモデルに制作された映画「ここに泉あり」の上映と、オーケストラの今後を考えるトーク「二十一世紀のオーケストラ〜だからオーケストラは必要だ」を関連事業として開催した。
 映画は、オーケストラが学校を訪ねて演奏する「音楽教室」を中心に、オーケストラの必要性が克明に描かれていた。一方、トークでは「オーケストラほど幅広い年齢層の聴衆を集められる音楽はない」「音楽教室という地道な活動こそ、将来の聴衆を育む」「地域との結びつきを強くすることで、オーケストラの個性が生まれ、ほかのオーケストラとの住み分けにつながる」「文化面ばかりを強調し、いかにして社会貢献ができるのかというアイデアが不足している」など、地方都市オーケストラの価値とそのための課題が話し合われた。これからも、このフェスティバルが、「すみだ」と「地方都市」の音楽文化の架け橋として、「地域芸術、文化創造の発信と交流」の場となるよう望んでいる。
 最後に、ある指揮者がプレ・コンサート・トークで印象的な話をしていたので紹介したい。「私たちの町は、東京と比べ時間の流れが少しゆっくりしている気がします。だからこそ音楽づくりに集中でき、良い音楽を提供できるのかもしれません」。

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