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68 秋田県秋田市

「井戸端ゼミナール」高杉静子代表
県外出身の女性が
「仲間・秋田・自分を発見!」

ユニークな視点で地域の魅力発見・情報発信

前(財)地域活性化センターコンサルタント業務課副参事

田口竜也

「秋田ってどこ?」結婚と同時に千葉県市川市から秋田市に住むことになった
高杉静子さんが、思わず発したセリフである。
現在、結婚や夫の転勤などで県外から移り住んだ女性のサークル
「井戸端ゼミナール」代表の高杉さんは、
とてもアクティブな印象を与える女性であるが、秋田へ来た当初は
言葉と習慣の違いに戸惑い、雪と寒さには泣かされたという。

秋田に対する思いを本に

 このような県外出身者の女性を対象として、平成五年、県の生活センター主催による「暮らしの井戸端ゼミナール」が、定員十五人で開催された。月一回のゼミは十カ月間続き、言葉や生活面の不便さを井戸端会議風に話し合ったり、方言についての講座や、ゴミ処理施設や観光施設の見学、地域で活動している女性の講演を聞いたりした。
 そしてゼミが終わるころ、「秋田に来ての苦労話や、秋田に対する思いを形にまとめてみたいね」という意見が出て、好奇心を発揮した十人が集まった。その情報は県の担当職員から地元出版社に伝わり、七年六月に『ようこそあきた読本 へば、なんとす』(無明舎刊)として出版された。
 地元を見る視点が新鮮で、生活に役立つ情報が満載だったこともあり、新聞やテレビでも取り上げられ、非常に話題となった。高杉さんには、同じ立場の人びとから共感の言葉とともに、「一緒に話し合ってみたい」との声が寄せられた。そこで、出版した仲間と相談したところ、県内から会員を募ってサークルをつくろうと盛り上がったのが、「井戸端ゼミナール」としての出発だった。出版から四カ月後のスピードであった。

例会は、得意技を持ち寄って

 現在、会員は約五十人で、ほとんどが、三十〜四十代の子育て中の主婦。県外出身者を対象に始まったが、最近は、友人がほしいという理由で県内出身者が一割以上入ってきている。
 主な活動は、月一回の例会の開催と、会報誌『へば、なんとす通信』の発行である。
 例会では、井戸端会議をすることもあれば、会員が得意技を持ち寄って行うカルチャー教室、外部講師を呼んでの英会話やハーブ教室などを行うこともある。中でも、最も盛り上がるイベントは、毎年恒例となった「作って食べようキリタンポ」の会だ。また、昼間は出られない人も多いので、夜集まる「夜へば会」も開いている。例会の内容は、会員がアイデアを出し合い、自由な雰囲気で決めている。
 隔月で発行している会報『へば、なんとす通信』は、会員がエッセイやコラムを持ち寄るほか、お国自慢のコーナーなどがあり、イラスト満載で女性らしい編集をしている。

羽ばたきのステップボードに

「仲間発見!秋田発見!自分発見!」というフレーズに、会の目的が凝縮されている。
 県外から来た女性は、第一に仲間との出会いを求めている。来た当初は、雪や寒さなどの自然条件の違い、しきたりや人間関係の重さ、何よりも家族や友人と離れていることの寂しさがある。そういう同じ立場の者たちが、集まって話をするだけで一息つくことができるとの思いから「まずは、ホッとする場を提供したい」と言う。
 また、仲間づくりをきっかけに例会に出る中で、秋田の良さを知り、さまざまな出会いの中で自己実現につなげていってほしいと考えており、そういう人たちにとって「会がステップボードになればいい」とも言う。
 すなわち、さまざまな活動をしている人の話を聞くことで、「こういう生き方もできるんだ」という刺激を受け、元気をもらうことができるので、例会をきっかけに、会員の得意なこと、興味のあることを引き出し、行動につながったらいいと思っている。
 実際、会員の中には、例会で教えたのをきっかけに、一般向けのカルチャー教室を開いた人もいるし、米屋のお嫁さんがインターネット上に出品するようになった例もある。アメリカの大学に行った人からは、会報に寄稿してもらっている。

秋田の心強い応援団に

 会ではホームページ(HP)を作成し、会報『へば、なんとす通信』も公開している。中には、HPを見て引っ越し前から入会を申し込んでくる人もいるという。
 また、高杉さんは個人で「あきたNEWS」というHPを運営しており、人気になっている。秋田にはこんな楽しいことがあるんだと自慢するつもりで、「日本中に秋田の情報を発信したい」との思いがこもっている。
 秋田に縁のない人がファンになってくれることに、インターネットの力を実感しており、県内のあるイベントに一緒に参加しませんかと呼び掛けたところ、仙台、埼玉、佐賀などからも参加があったという。
 県外に出てしまった人から共感の声が寄せられることや、HPに載せた風景を見て、なつかしいという反応が来たりもする。「地元の人では撮らないと思うような何気ない風景が、私にはとっても秋田らしいと感じる」と高杉さんは語る。
 その意味では、自然がまだまだ残っており、観光地も手あかが付いていない良さがあると感じている。そして、地元の人の人情に触れられたり、心に触れるような行事や祭りなどを伝えていきたいと考えている。
 会報名の「へば、なんとす」とは、秋田弁で「じゃあ、どうしよう」という意味である。戸惑っているばかりでなく、まずは小さな一歩を踏み出そう、という意味を込めている。
 さらなる歩みとして、「こうしたら秋田は住みやすくなるという会員の声をまとめて、提言をしていきたい」と高杉さんは語る。県外出身者にとって住みやすくなれば、元々住んでいた人にとっても住みやすくなるであろう。秋田にとっては、本当に心強い応援団である。

●井戸端ゼミナール http://www.hana.or.jp/hana/neko/heba/
●あきたNEWS http://www.hana.or.jp/shizuko/





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