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郷土料理とまちづくり |
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ふるさと料理杉の子代表取締役 |
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森 松平 |
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宮崎は日本有数の農業県(粗生産高八位)であり、観光県でもある。観光みやざきの父岩切章太郎翁は常々「自然の美、人工の美、人情の美」の必要性を語り、県民に観光の知恵と心得を説いた。晩年(昭和六十年)には「寝たきりになって残念だよ。花の宮崎、においの宮崎はつくった。あとは味の宮崎をつくらなければね。こんなになってもまだ夢を見つづけているよ」と、地元紙『宮崎日日新聞』正月特集記事にある。岩切さんは地域食文化の郷土料理を活用した観光みやざきの確立という宿題を私たちに与えたのであった。
郷土料理とはその地域の家庭料理の集合体であり、日本料理(和風料理も含めて)とは日本各地に伝承されてきた郷土料理の集大成と考える。「郷土料理とはソウルフーズ(Soul food)」と言った人がいる。その人にとって幼いときに食べた思い出、慣れ親しんだ味こそ郷土料理というわけだ。私は身土不二(しんどふじ・自分の身と土地は二つとない)、土産土法(どさんどほう・土地で採れたものをその土地の方法で料理する)をモットーに、宮崎の食材にこだわって宮崎の味づくりを行っている。食の原点は、その土地でとれた旬のものを、その土地に伝わる方法で食することであり、自然に逆らわず、季節のものを食することが当然で、体はそれを欲している。
その土地にはその土地の言葉がある。その土地の味がある。そこだけしかない味がある。景色を見るだけの観光は終わり、これからは心に残る地域食文化を提供できる村や町でなければ人を集めることはできないと思う。
百済の里づくりの南郷村、有機農業の綾町、霧立越えを通してブナ帯食文化論を展開するヤマメの里のある五ヶ瀬町、夜神楽で煮しめ・焼酎を振るまう高千穂町、そして椎葉村、西米良村は食による地域おこしに熱心である。
とくに熊本県境に位置する西米良村は、村に伝承する郷土料理の活用と人づくりに取り組んでいる成功例といえる。過疎化の中で「ふるさと村民制度」を設け、「米良の里」「民話の里」「双子キャンプ村」「西米良温泉ゆたーと」などと交流施設を整備し、若者人口も増えつつある。ユズの主産地化により、ユズ加工品は高い評価を得ている。この村はもともと地域食文化を守り育てる気風があり、地場産品を地元消費するという「地産地消」を着実に実行しているモデル地区でもあった。糸巻き大根、伊勢いもといった、ここにしかない在来種の野菜を使った煮しめ。天然イノシシ・シカ肉料理。山菜のみそ漬、あく巻き、竹の子の干しもの、地こんにゃくと、食材はすべて村内産だ。これらはすべて「ゆたーと」のレストランで食べられる。料理を作る人、運ぶ人ももちろん地元産。
最近、「ワーキングホリデー制度」を設け、花き園芸、果樹園芸の繁忙期に都会から人を募集して、一週間のうち四日間働き、三日間は西米良の自然と遊びませんかと呼び掛けている。夏の花火大会は各集落の婦人部による出店が特産品発表の場となり、大にぎわいを呈す。
食べ物はその土地の人となりを映す。食べ物を大切にする土地では人も育つ。味づくりは人づくりであり、まちづくりでもある。
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