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熊本県七城町─メロン生産者の「対面販売」奏功
奇跡の成長、五年間で売り上げ三倍に

(有)七城町特産品センター「メロンドーム」支配人

福島隆次

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 売り上げの大部分は、独自に開発した特産のメロンと新鮮な野菜。メロンは、生産者自らが売り場に立って、お客さんと直接、触れ合うスタイルが、結果として生産者自身の意欲を高め、お客さんの共感を生み、メロンドームの主力商品として売り上げを伸ばしてきた。

良質の「菊池米」産地

 七城町は、雄大な阿蘇の山々の西北に広がる菊池平野のほぼ中央に位置し、阿蘇がもたらす清らかな水によって、古くから良質の農産物に恵まれてきた地域である。
 とくに米は、従来から「菊池米」として、県内では高い評価を得ていたが、数年前、東京のとある業界紙が主催した米の食味会で、「七城の米」は、魚沼産コシヒカリなど並み居る銘柄を押さえて金賞を取ったほどの良質米の産地である。
 このような環境を生かし、より豊かな暮らしを築いていくために、昭和六十三年の「七城町まちづくり構想」の中で、「『作るだけの立場』から『作り、自ら売る立場』に立った農業生産への転換」を目標に掲げ、これを具体化する場として特産品センターが建設されることになった。
 建設予定地は、福岡方面から阿蘇に向かう主要ルートの沿線という好条件だったが、既に近郊の町村には類似の物産販売施設があり、他の町村も加わってこのような施設同士の「競争」になることが予測されたため、より魅力的な商品や売り場づくりをするために、施設の建設に先立って、出荷予定者による「特産品センター出荷協議会」を組織した。同協議会には、メロン、花、野菜、加工品の部会を設け、計画作付け、出荷調整や値付けなどについて検討を重ねた。
 また、主力商品となるメロンについては、現地指導や勉強会などの部会活動を通して、栽培技術の向上を図ったほか、地元の農家グループが品種改良に取り組み、特産品センターでしか買えない二種類のオリジナルメロンができた。

売り上げ10億円を突破

 こうして、メロン型の屋根の七城町特産品センター、通称「メロンドーム」がオープンしたのが平成七年。
 メロンドームに並ぶ地元の農産品や加工品の一つひとつには、生産者の名前が書かれたシールが貼られる。メロンの場合は、これに加えて生産者自身が売り場に立って、お客さんに試食していただく。もし、買っていただいた商品に問題があれば、お客さんから名指しでクレームが来る。
 メロンの最盛期には、メロン売り場は、生産者同士が声を張り上げてお客さんに声を掛ける。お客さんも、「あっちのメロンが甘い」「こっちのメロンがおいしい」と試食をしながら品定めをしたり、さながら戦場となる。
 このように生産者が直接売場に立つ「対面販売」によって高まった商品に対する責任と競争の意識が、売り上げを、初年度の三億九千万円から、五年目の平成十一年度の十一億円にまで伸ばし、来店者も初年度の四十万人が十一年度には八十五万人強を数えた。
 オープンから五年を経て、実はメロンドームは新たな展開を迎えている。地域産品の流通にも訪れた厳しい競争環境に対応するため、平成十一年、大幅なリニューアルを行ったのである。
 まず、販売するメロンをはじめとした農産物の品質を高め、商品の競争力を高める基盤づくりを行った。
 一つは、光センサー糖度測定装置を備えた選果ラインを設けたことである。光センサーによる糖度(甘み)測定は、果実に傷を付けることがないので、一個ごとの品質管理が可能。この結果、メロンドームには、一定の品質(糖度十四度)に満たないメロンは並ばないことになる。
 もう一つは、メロンと並んで主力商品である、朝採り野菜などの品質保持のために保冷庫を設けたこと。これまでシーズンによっては、店頭に並べた商品がすぐに売り切れ、生産者は一日に何回もメロンドームまで納品に来る必要があった。メロンドーム自体に保冷庫ができれば、生産者の負担を軽くすることもできるのである。

加工品販売も強化

 リニューアルのもう一つの目的は、加工品への対応の強化である。
 メロン一個ごとの糖度を計ることによって、一定糖度以下のメロンは出荷(販売)しないことになる。裂果やサイズなどの規格外品と合わせて、果汁を加工品に利用しようというのである。
 そのために、メロンドームの後背地に搾汁工場を建設。店内にもゼリー、アイスクリームなどの加工、販売スペースを設けた。すでに四種類のメロンゼリーのほか、パン、アイスクリームなどをメロンドーム内で生産、販売。さらに、果汁は原料としてメーカーに卸すことも視野に入れている。
 実は、リニューアルを行った十一年秋、台風18号による暴風雨のため、本町の秋メロンはほぼ全滅。メロンドームの売り上げも大幅に落ち込み、リニューアル後の運営費も膨らんでいたため、一時は赤字も覚悟していたが、加工品などの売り上げ増で、何とかしのぐことができた。
 そこで、加工品の取り組みが重要になるのだが、そのポイントとなるのが加工原材料の確保だ。メロンの果汁は、本格的に作ると原料の規格外品の量が不足することが予測される。近い将来には加工用のメロンを作ることが必要になってくるわけだ。

新特産品づくりに挑戦

 このように、売り上げとともに業務や組織が大きくなることによって、さまざまな課題も出てくるが、メロンドームに対しては、わが七城町が取り組む「田園文化の里づくり」の拠点として、町内外からの期待は大きくなるばかりだ。
 私たち、メロンドームの運営を預かる立場の者としては、単に施設運営だけを考えるだけでなく、町民とともに特産品づくりにチャレンジし、成功させることで、新たな意欲を高めていくべきであろう。
 今後も、これまで以上に、品質を高め維持することを基本に、「七城」の名前が、優れた商品の持つプラスイメージとともに知名度が高まるよう、生産、加工、販売が一体となった農業をベースとした産業づくりに取り組んでいきたい。

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