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徳島県木沢村─滝の数日本一
村おこしに滝写真集、全国から反響
地元民が撮影に協力、近く第2集

木沢村産業企画課主事

増井英子

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山村に100以上の大小の滝

 人口約千人。徳島県南西部の剣山山麓に位置し、総面積一五四・九七キロのうち、山林面積が九七%を占める平地の少ない山村が、「滝王国」と呼ばれる木沢村。滝の数は、ざっと大小百以上はあるだろうといわれている。
「日本の滝百選」にも選ばれている「大釜の滝」をはじめ、形式も規模もさまざまな滝が散在し、数年前からは、グリーンツーリズム推進に力を入れている。一人でも数多く村に足を運んでもらおうと、最近、一冊の滝写真集も出版された。
 昭和六十一年、村おこしのため地元村民で結成された「村おこし三十人衆」の提案がそのきっかけとなった。写真集づくりはまず、滝の実態調査から始まった。村内をくまなく歩き、調査すること約一年。地元の人びと、村職員が一丸となり、行ったこともない山々へ足を運び、やっとの思いで撮影にまでこぎつけた。国道沿いのなだらかな地域から、危険極まりない幽谷まで、写真集のサブタイトルどおり、まさに「神秘とロマンを求めて」の状態だった。気息奄々(えんえん)に登る山道。行き着いた滝の雄姿に、しばしぼうぜんとたたずむ。今回の撮影は、三十二滝を収録し、『滝王国inきさわ』と題して第一集が発刊された。
 発刊にあたり、関係者には、言葉ではいい尽くせないくらい感謝の気持ちでいっぱいである。だが、もうすでに、第二集発刊の作業を始めており、関係者の方々には、ご迷惑をお掛けしながら協力を仰いでいるところである。
 第一集の発刊が、マスコミで報道されたこともあり、全国各地から滝写真集の購入、問い合わせが殺到、その対応に大忙しだった。滝写真集に魅せられ、実物の見学に木沢村まで足を運んでくださる方もいた。

滝にまつわる2つの秘話

 滝は昔、行者が修行のために訪れ、心身を清めていたという神聖な場所。木沢村にも、神にまつわる滝の話が幾つかある。その中から一、二紹介してみたい。
 まず、『滝王国inきさわ』第一集に掲載されている「千本滝」の話。
 大美谷ダムから約三百メートル下流にある千本滝は、落差約四十メートルの壮麗な滝である。名称の由来は昔、千本の木材を滝壷の淵に落とし込んだが、全部沈んで浮かび上がらなかったという説と、滝壷へ落とし込んだ千本の木材が、翌朝にはすべて滝の上に浮いて、返ってきたので“千本返しの滝”と呼ぶようになったという説とがある。いずれも滝壷にすむ竜神の怒りの仕業といわれてきた。木沢村は、かつて林業が盛んであった。道路も悪く、自動車すらなかった時代、材木を川などに流し、川下へ運んでいた。以来、この千本滝を流材するときは、事前にお神酒などをあげて、竜神に祈願したという。
 第二集に掲載予定の、「ほら貝の滝」というのがある。標高千九百五十五メートル、西日本第二の高峰剣山の山中にある。落差は約二十メートル。この名称も、滝がほら貝のように見えるからという説と、剣山の修験者が修行のために、滝の周りでほら貝を吹いていたからという説がある。いずれにせよ、滝が神聖な場所とみられてきたことには変わりない。
 木沢村には、透き通って美しい、サファイヤブルーやエメラルドグリーンの色をした滝壷が数多くある。それぞれに形が違い、雰囲気が違う。人間の顔が一人ひとり違うように、滝も一つひとつが違う。雄滝と言われる滝もあり、雌滝と言われる滝もある。こんなにたくさん滝があるのに、同じ滝は一つもない。険しく見える日も、優しく見える日もある。滝は静かに強く生きているようだ。
 私のもとに、老夫婦の方が写真集第一集を買い求めにみえた。この方たちも滝に魅せられ、足を運んでくださったのだろう。

温泉と滝を抱き合わせ

 滝写真集のおかげで、滝を見に来る人が増え、滝は大事な観光スポットとなった。滝めぐりの拠点として観光施設「四季美谷温泉」を利用している方も多く、観光上のセットになっている。大釜の滝、大轟の滝、新居田の滝を主要コースに、滝めぐりのあと、温泉につかる。こんな、観光客が増えており、今後は、滝の看板、コース設定、滝までの道路整備を検討中である。
 また、三県八町村持ち回りで開いている「四国名瀑サミット」がある。滝をテーマにしたフォーラムで、平成十三年度には、木沢村で開催予定である。日本の滝百選に選ばれて有名なのが、「大釜の滝」である。国道193号線沿いにあり、落差は約二十メートルで滝壷も大きく、滝壷までおりていけるので、観光客が多い。秋には燃えるような紅葉が滝の周りを彩る。美しい滝と紅葉が、お互いを引き立たせ、その絶妙のバランスは見る者のひとみをくぎ付けにする。春夏秋冬と季節は巡り、歳月を重ねても、滝の美しさは不動のものだ。
 滝王国の発刊後、購入した方々から、いろんなご意見をいただいている。第二集ではそれらを生かせるようにしたい。

実物の滝見学にぜひ!

 これから、残りの滝の撮影が待っているが、全国の滝ファンのために、木沢村のために、いや木沢村の美しい滝々のために、がんばることにしよう。『地域づくり』をお読みになった皆さんも、機会があれば、『滝王国inきさわ』をぜひご覧になってくださればと思う。「♪君と逢瀬は しぶきに濡れて涼し大釜 大轟 香るささゆり あの黒髪にさしてやりたい 滝めぐり」と木沢音頭にも歌われるように、滝は、訪れる人びとをセンチメンタルにさせるようだ。ぜひ、実物の滝見学に木沢村へ足を運んでください。滝あり、緑あふれる、美人の多い? 木沢村へ。

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