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岡山県東粟倉村─日本一の愛の鐘 「愛の鐘」鳴らし、カップル620組が誕生 凱旋門風、荘厳な音色で門出祝す |
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東粟倉村企画室主幹 |
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小守克則 |
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東粟倉村は、岡山県の最東北端に位置する人口千五百人の小さな村である。岡山県下の最高峰、後山に連なる山々は、氷ノ山後山那岐山国定公園に指定されており、春は山桜やこぶし、初夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の美しい景観を見ることができる。
後山は、「霊山後山」「行者山」とも呼ばれ、古くから信仰の山としてあがめられ、今なお女人禁制を守り続けている。東粟倉村へは、公共交通機関利用の場合は智頭急行大原駅から、自家用車の場合は中国自動車道佐用IC下車、国道373号で大原町を経由して国道429号で東粟倉村へ入る。
農山村にありがちな「暗い、閉鎖的」なイメージを払しょくするためにはどうしたらよいか。村ではいろいろ知恵を絞り、そして始めたのが日本一の愛の鐘“リュバン・ベール”(フランス語で、緑のリボン)を村のシンボルとした新たな村づくりである。
人気絶頂、増える挙式
「人を愛し、自然を愛し、ふるさとを愛する」。そうした村民の心をはぐくむことを基本に「愛の村構想」が出来上がった。ソフト面においては、「愛の村創生」を推進し、花いっぱい運動を通した良好な住環境の整備、河川の美化、農地や山林が息づく全村公園化、海外研修などによる人材育成に取り組んできた。ハード面においては、「音色」「創造」「自然」をテーマとした「愛の村リゾート基本構想」による、滞在型の静かな保養地づくりである。
この構想に基づき、「音色ゾーン」にあたる日名倉山(一〇四七・四メートル)の中腹にベルピール自然公園を建設した。山岳信仰の後山を男山と呼ぶのに対して、この日名倉山はなだらかな稜線を描くことから女山、別名美作富士とも呼ばれる。
高さ七百五十〜八百メートルに位置するこの公園には、リュバン・ベールを収容した凱旋門風の巨大な鐘楼(横幅二十メートル、高さ一八・二メートル)があり、二人だけの結婚式が挙げられるベルピールホールがある。ここから眺める雄大な景色を背景とした「二人だけの結婚式」は、若いカップルに人気があり、遠くは東京、埼玉、横浜、山口、四国、九州方面からの挙式者も多く、これまでに六百二十組のカップルがここで式を挙げている。
オープン当初は、PR不足もあり、初年度の平成四年には七組の挙式しかなかったが、翌年以降は四十七組、七十六組、百三十九組と着実に増え続けている。
挙式は、ベルピール自然公園関係者の立ち会いの下で、ベルピールホールでの結婚セレモニー、そして二人は鐘楼まで階段を上って大小二個ある「愛の鐘」を鳴らす。フランス製の大きい鐘は重さ六トン、直径二メートル、小さい鐘は重さ三トン、直径一・五メートル。シルバーカラーで、荘厳な音色が二人の門出を祝ってくれる。また、二人の誓いの言葉と、思い出の品物を入れたタイムカプセル―愛の箱―は、五十年間愛の鐘の下で保管され、五十年後に二人でここを訪れれば、愛の箱から昔日の思い出が飛び出してくる仕組みになっている。
個性的な観光ゾーン
結婚式の増加とともに来園者も増え続け、毎年五〜六万人がここを訪れる。四季折々の変化や雲海など自然が醸し出す景色を楽しみに訪れるリピーターも増え、写真愛好家も多い。鐘楼の横には「ロンポアンダムール」と名付けられた「愛の広場」があり、人と人との調和を表す母子像、老人像、少女像のモニュメントを配置している。
「創造のゾーン」には、平成二年完成のカラクリおもちゃ作家や家具作家など、木の持つ温かさを題材とする、クラフトマンの活動拠点施設「クラフトハウス」、同七年にオープンした「現代玩具博物館・オルゴール夢館」がある。この博物館には、産業社会が急速に発展した一九五〇年代後半以降に登場した、ヨーロッパを中心とした木のおもちゃ約四千点を収集・展示している。一八九〇年代からのアンティークオルゴールや、オートマタオルゴール(カラクリ自動人形)の展示施設もあり、毎日定時におもちゃツアーやオルゴールコンサートを行っているほか、季節ごとに特別企画展やおもちゃ教室を開催している。
現代玩具博物館の西側には、「東粟倉・愛の村パーク」があり、食と健康のテーマ館として、都市との交流、村の観光拠点施設としての役割を担っている。農園で採れる季節の野菜を使った田舎料理の提供、リラクゼーションルームでは女性の美肌効果・保温効果にすぐれた光明石温泉(人工温泉)や季節ごとに変わる薬湯風呂で心身のリフレッシュ、手づくりのパンやハーブ石鹸づくり、ドライフラワーのアレンジメントなどが体験できるほか、農園での野菜収穫体験、コテージでのアウトドア体験も人気の的である。
資源掘り起こしと活用
地元産のヒメノモチや農産物を使った特産品である餅類の製造販売を行っている「東粟倉工房」、県南・京阪神の人びとに人気がある後山の自然の湧き水「愛の水」、村営宿泊施設「こぶしの里後山」がある。
日本一のベルの導入により、村のイメージは確実にアップし、クラフトマンの村への移住、U・Iターン者の増加、観光施設や上下水道の整備、花いっぱい運動を通した住環境の創出など、さまざまな波及効果を生んできた。
今後は、豊かな緑に育まれた自然、産業、伝統、文化など地域に埋もれている資源の掘り起こしや活用を積極的に図り、これらを活用したグループ育成も同時に行い、それぞれの活動を通して交流の輪を広げ、「人、モノ、情報」が行き交うネットワークづくりの推進、インターネットを活用した情報の発信を積極的に行う。
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