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和歌山県南部川(みなべがわ)村─梅の生産日本一 梅と健康を抱き合わせた村づくり 将来見据え、梅研究施設も充実 |
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南部川村長 |
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山田五良 |
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春夏秋冬たゆみなく
日々のつとめにいそしめる
日本一の梅の村
日本一の炭の村
うるわしわが村南部川村
これは昭和三十年に南部川村が誕生したときに制定された村歌の一節である。
薮梅の奨励が起源
南部川村は、緑豊かな自然のもと梅の香りのする「活力に満ちた村」として、すべての村民が生き生きとして生産に励んでいる。
紀州梅の生産量は年間約二万トン、売上高約九十億円は日本一。村の人口の八〇%が梅生産にかかわる梅の里である。
村づくりのスローガンは「梅と健康の村づくり」である。梅を中心にして農業、工業、商業の一貫した地場産業を形成し、その振興を図って村民経済の充実を期している。一方、健康面では、心身共に健全な人づくりを目指している。
梅の花は百花の魁(さきがけ)といわれ、寒風冷気の中、力強くつぼみを膨らませてくる精力は、実に神秘的な生命力を持っている。私どもはこの花の精神を見習い、これまで先人たちがたゆまざる努力によってつくり上げてくれた良き伝統と基盤を受け継ぎ、夢とロマンに満ちた二十一世紀社会を築き上げるため、日夜懸命の努力を続けているのである。
江戸時代、紀州田辺藩は、篠竹(しのだけ)の生えているようなやせ薮は五穀耕作不能地として免租にした。たまたま、その薮の中に自生の梅が生えていて(これを「薮梅」といった)領民はこの薮梅の実を食用にしていたが、薮梅の生えているような土地は免租にされているところから、重税にあえぐ農民は少しでも節税になるように、他の土地にも梅を植えて免租地を広げていったということである。これが当地方の梅の起源といわれる。
このことは裏を返せば、賢い殿様が産業振興を図るため、土地にかける固定資産税を減免して、領民の生活を守り、活力を与え、ひいては自藩の繁栄を目指したものと思われる。今の時代でも、この基本精神は大いに見習わなければならないと思う。
村の顔は「うめ課」
梅は、明治以来たびたびの戦時下で、軍需食品として、また悪疫予防食品として、需要が伸びてきた。昔の武士は「梅を望みて、渇きを止める」を戦場の心得としていたそうで、飲み水がなく、口が渇き体力の消耗の激しいとき梅干を想い出せば、口中のだ液が充満し、一時的にも渇きをしのぐことができるということである。
梅干は、だ液の分泌を促し、消化機能を活発化させると共に、殺菌力も働き、体内ではアルカリ性化するなど薬理効果を持った価値の高い保健食品といえる。
「とにもかく 梅にたつき(生計)をかけし里」とは、隣町の南部町の俳人中川化生さんがわが南部川村を詠んでくれた句である。
南部川村は、とにかく梅にかけた村づくりを進めているから、村の行政も必然的に梅シフトを敷いている。まず、役場に「うめ課」というセクションを設置している。これは昭和四十八年に新設したもので、梅産業振興全般を担当している。今では、村にはなくてはならない名実共に南部川村の顔である。
梅の栽培加工は、長年の経験と勘に頼る面が多く、科学的試験研究は他の作物に比べ遅れていた。そこで産地自ら試験研究に取り組むため、ふるさと創生一億円交付金を原資として、村立の梅研究施設をつくった。梅の栽培から加工まで、一貫した研究施設として、二十一世紀の梅づくり村づくりの拠点施設となって活動を続けている。
特産の備長炭も振興
南部川村の梅には、どんな歴史と人びとの努力があったのかを解明し、自然と人びとがはぐくんだ技と知恵を学び、村の梅の未来を展望し、梅にかかわる情報を広く発信する目的で平成九年七月、うめ振興館を設置した。
この振興館は、梅資料館、歴史民俗資料館、物産販売所、屋上展望所から成り立っている。また、館全体をまちむら交流の場としており、「道の駅」にも指定されている。さらに村の子供たちの、ふるさと学習の場としても幅広く活用されている。
村のもう一つの特産物に紀州備長炭(びんちょうたん)がある。紀州備長炭は、原木ウバメガシを焼き上げた硬質白炭であり、最優良品とされている。
木炭はもともと燃料であるが、近年は化石燃料に変わり、薪炭を使う家庭がほとんどなくなっている。しかし、業務用特需としてかば焼き、焼き肉、茶道の湯わかしなど独特の風味を引き出すため根強い需要がある。
さらに、水質浄化、脱臭、防湿、防虫など生活環境面に大いに役立っている。
村では昭和五十七年から、「足元にある収入源の活用」を提唱して、備長炭振興を図り、伝統の火を消すことなく、今日のように脚光を浴びるに至っている。
紀州備長炭振興館は、炭の資料展示、炭焼き体験など村のシンボル施設であり、情報発信源ともなっている。
村づくりで総理大臣賞
二つの特産物の産地として、全国木炭サミットを平成五年二月に本村で、また全国梅産地首長会議(うめサミット)を平成十二年二月に開催、いずれも大成功を収めた。
健康の村づくりは、健康食である梅を生産する村民が不健康ではお話にならないところから保健衛生、生涯学習に力を入れている。ちなみに国民健康保険の一人当たり年間医療費は二十万円前後で、和歌山県下では最下位が長く続いている。生活保護受給率は、人口千人当たり一・四人と、これも県下最下位にある。
平成十二年度の「ふるさとづくり大賞」((財)あしたの日本を創る協会主催)では、わが村が内閣総理大臣賞に輝いたが、これは村民が日ごろの村づくりに精励していることが認められたもので誇りに思う。
梅と健康の村づくりは、一応、軌道に乗ってきたと思うが、梅はこれから外国産との厳しい競争という試練に立ち向かわなければならない。
日本の農業は、ほとんどが外国産食料輸入のため、窮地に立たされている。食糧の自給率は、国力のバロメーターであるから、日本の農業をつぶしたら国自体が滅びることを、国も国民も自覚しなければならない。
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