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愛知県富山村─日本一小さな村 自然環境の良さを文化交流促進に 山村留学とみんなの森大学 |
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富山村教育委員会教育主査 |
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伊藤秀雄 |
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愛知県の最北東部に位置する富山村は、北の背後にそびえる八嶽山の秀峰を境に長野県、東は南アルプスに連なる静岡県の山々、眼下には佐久間ダム湖の神秘的な水面が広がり、天竜奥三河国定公園に囲まれた自然豊かな村である。
しかし、昭和三十年代に入り、佐久間ダム建設に伴い、水没地域の人たちは離村を余儀なくされ、村の人口の三分の一を失った。その後の高度経済成長は、若者の都市への移出を招き、人口減に拍車が掛かった。昭和五十八年には離島を除き遂に人口が日本最少の村となった。
村では、この事態から立ち上がるため五十九年、「富山村総合計画」を樹立し、むらづくりの方向を“山村文化交流村”の実現とし、そのための努力を払ってきた。
さらに、平成五年度に策定された「富山村新総合計画」も、山村文化交流の一層の進展に重点がおかれ、山村文化と、人と人との交流を基調にしたむらづくりの方向が示された。
これまでの、富山村の生涯学習の成果を検証しながら、村の現状と優位性を見直し、取り巻く環境の変化に対応したむらおこしを求め、厳しい過疎からの脱皮を目指している。それが「山村留学事業」と「みんなの森大学」の実践である。
その1─山村留学事業
都市部の子供を持つ親の多くは、子供たちが育つための環境として、都会では得がたい豊かな自然の中で「じっくり」と、遊びや物作り、川遊びや山登りなどの体験が得られる山村の教育環境に大きな期待を寄せている。
このことは、本村が取り組んでいる「山村文化交流村」の推進事業の狙いと一致するところである。
豊かな自然に抱かれた山村、心温まる人情味のある里、長い年月を経てはぐくまれてきた民俗文化のある山里、この環境を学び舎にして山村の生活を希望する都市部の子供たちを積極的に受け入れ、人材の交流を拡大して村の活性化を図ろうと考え、山村留学事業の企画をたて、平成十一年度から着手した。
まず、十二年度の長期留学へつながることを期待して、短期山村留学を十一年八月の夏休みを利用して三泊四日の日程で募集したところ三十四人の応募者があった。そこで先着十人の児童生徒を受け入れ、自然・人・文化をテーマに、キャンプや自然と親しむ体験活動を実施した。
この短期留学の実践結果を踏まえ、十二年度から実施する長期山村留学生受け入れに伴う事業の経営方針および活動内容、指導員の確保、宿泊施設の修理、生活用品などを整備充実した。長期山村留学生の受け入れについては、「温かな心」と「恵まれた自然環境」という富山村のよさを体で実感し、共に生きる心と力をはぐくむことをスローガンに、先着五人の児童生徒を募集した。
その結果、名古屋市をはじめ周辺の町から小学生一人、中学生四人が応募。指導員の募集も同時に行い、八人の応募者の中から男子一人、女子二人の意欲に燃える指導員を確保することができた。
五人の児童生徒と、三人の指導員は四月一日から、「やませみ学園」の生活に入り、この二月で十一カ月目となる。学園は共同生活である。起床から就寝まですべて「自分の力で」をモットーに、助け合いながら「生きる力」をはぐくみ合うことを基本にしている。
とくに生活上生じる諸問題や体験活動計画は、みんなの問題として「どう解決するか」は自分自身の問題としてとらえ、毎日指導員とミーティング時間を設けて問題解決を図る過程を通して、基本的生活習慣・自立心の向上に努めている。
「やませみ学園」の自然体験活動は、四季の移り変わりの中で、自然と人びとの生活の知恵を学びながら、自然の豊かさと人間との関わりが会得できる活動を展開している。
通学するのは小学生は富山小学校、中学生は富山中学校。学校生活においては、「一人学級」が解消され、互いに鍛練する学習活動が学習効果を高め、学校の活性化を図っている。
その2─みんなの森大学
山村文化交流村を目指す本村は、平成元年八月、お互いが、お互いを、認め合う努力をしようとすれば、国籍・年齢・学歴・男女の差を問わない「みんなの森大学」をつくった。富山村の豊かな自然をキャンパスに、「好きなことを好きなところで、好きなように、好きなだけ学んでみませんか」を提唱して村外者にも参加を呼び掛けた。村民との交流の場となる、この特色ある「みんなの森大学」がこうして始まって、十二年間も継続している。
一セミナーは、一泊二日の講座で実施するため、宿泊施設のあるバンガロー村をメーン会場にして開講しているが、収容人員に限りがあるので、一セミナー三十人を限度にしている。
本年度実施している「みんなの森大学セミナー」は、富山の自然・文化を生かした内容で、十セミナーを計画し、既に延べ百六十七人の受講生が富山の地で、村民と触れ合いながら学習を終えている。多くの受講生は「自然がとても素晴らしく、空気がおいしくて水がうまい。村の人は心が温かく、親切だ」と口々に感想を述べている。この言葉にスタッフも励まされ、山村文化交流村の活性化は着実に前進している。
三月に交流センター完成へ
富山村新総合計画の精神を受け継ぎ、二十一世紀も「むらづくり」のため山村留学事業とみんなの森大学セミナーを積極的に進めていく方針である。
現在、建設中の「山村教育交流センター」も三月半ばには完成の予定である。十三年度は山村文化交流の発信拠点として、山村留学生十一人の受け入れがすでに決まっており、セミナーの企画などセンターの活用の場づくりが、これからの課題である。
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