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長野県豊丘村─良質マツタケ日本一
農家の副業が“山のダイヤモンド”採り
28年間続く人気の「まつたけ観光」

豊丘村交流センター所長

片桐 明

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 「あった! あったよ! なんて大きいの、すごいよ、これは。あ、ここにも、あそこにもすごい、すごいよ! あー、もう感激、死んでもいいよ」
 これは、昨年初めて企画した「豊丘の秋満喫ツアー」で、初めてマツタケを見つけた名古屋市のご婦人が発した一こまである。

赤松を村の木に制定

 豊丘村は長野県の南部、下伊那郡の北部に位置し、総面積は七六・八五平方キロ。東の鬼面山(千八百八十九メートル)を最高峰とする伊那山脈から、西の天竜川まで、西向きに日本一の美しい河岸(かがん)段丘を形成している。
 このような地形から、天竜川沿岸の下段地帯では水田を中心とした農業が発達し、中段地帯はりんごを中心として、ナシ・ぶどう・柿・梅などが栽培され、果樹の生産団地を形成、農業の中核をなしている。
 また、人口は七千四百人弱で、飯田市のベッドタウン的役割を果たし、現在は微増傾向にある。
 村の総面積のうち、約八〇%の六十一平方キロは山林。その中で赤松林が二十五平方キロを占めていることから、昭和六十年に「赤松」を村の木に制定した。
 この豊富な赤松林からは、「香り・味・歯ごたえ」のどれ一つをとっても日本一、と市場から評価される良質のマツタケが生育し、農家の副業として、シーズンともなれば、仕事そっちのけできのこ採りに熱く燃える。
 このマツタケの収穫量は、私有林と村有林合わせて年間五トンに及び、金額にすれば、二億円から三億円ともいわれ、まさしく山のダイヤモンドとも言われる。

殺到する電話問い合わせ

 毎年秋になると、電話の回線を増やさなければならないくらい、マツタケに関する問い合わせが殺到する。「マツタケを送ってほしい」「マツタケ狩りをしたいが」「どこかマツタケを食べさせてくれる所はないのか」などである。
 しかし、このマツタケを全国的に有名にしたのは、二十八年間続けられている「堀越まつたけ観光」がきっかけとなっている。
 この堀越まつたけ観光は、村内七つの区(地域)の中の一つ、堀越区で、昭和四十七年に「何とか村おこし・地域おこしができないか」と区民が結集し、知恵を絞った結果、始まった。毎年九月から十月末までのシーズン中、堀越地区の小学校分校を改装した区民会館で、区民全員が参加し、まつたけ観光の運営に当たっている。シーズン中は区民会館が観光施設に生まれ変わるのである。
 このまつたけ観光の目玉は、マツタケ料理。シーズンは一カ月のみであるが、毎年三千人を超える人出があり、地元区民たちは、大忙しでお客さんの間を飛び回り、接待に追われている。
 料理は、竹コース・松コース・特コースの三つがあり、料金は、四千五百円から一万円まで。特コースの内容を紹介すれば「マツタケのすき焼・どびんむし・焼きマツタケ・マツタケご飯」と、これにお酒が付いて、まさしくマツタケ三昧の内容である。
 また、このマツタケ料理のほか、もう一つの楽しみは、地元女性グループによる素朴ながら、優雅な踊りのサービスである。この踊りが始まると、お客さんは一斉にはしを置き、踊りに夢中になる。
 この素朴なサービスと、ふんだんに地元産マツタケを使った料理が人気の秘密となって、一度ここでまつたけ観光を味わうと、翌年にはリピーターが、新しいお客を連れて訪れ、まさにリピーターがリピーターをつくり、二十八年間も続いているのである。

交流センターがオープン

 地域で抱える課題を解消する手掛かりにと、平成十二年四月から、都市を含め他の地域住民と積極的で、親密な交流を進めようと交流センターがオープンした。
 この施設では、「りんごの木のオーナー制度導入、都市の中学生を受け入れての、農業勤労体験学習、都市住民に農業の手助けをしてもらう、援農ボランティア事業、地域の農産物を活用した農産加工体験」などのほか、故郷の味を存分に味わっていただきながら、交流人口の増加を目指した「豊丘の秋満喫ツアー」などを企画、実施している。
 この、秋満喫ツアーは、当村農業のメーンでもある、りんご狩りと、秋といえば欠かせない栗拾い・きのこ狩りをセットにした観光ツアーである。実は、当村のマツタケは、私有林は別として、村有林のきのこ狩りの権利は入札で決めており、その権利取得者以外はすべて止め山(入山禁止)となっている。
 しかし、交流センターがオープンし、より積極的な交流を目指す意味でも、この「日本一のマツタケ」を生かさない手はないし、全国各地からも「きのこ狩りをしたい」という多くの要望にこたえるため、議会や地元住民の理解を得て、村有林の一部、八ヘクタールを秋満喫ツアーのため、開放することになった。十二年秋から始まったばかりだが大好評である。

マツタケ狩りの新企画

 案の定、この企画をホームページに載せたところ、多数の申し込みがあったが、マツタケの発生期間は年間一カ月と短く、マツタケを栽培しているわけでもないため、毎日、観光客を受け入れるのは難しく、人数も限られてしまい、十二年秋の収穫期は多くの人びとにご迷惑をかけてしまった。この教訓を生かし、今年は多くの方にマツタケ狩りを楽しんでもらえるよう、新たな企画を検討したい。
 交流センターでは、さまざまな事業を展開しているが、基本的には「地域の農林産物を活用した事業」を実施することで、地域経済の基盤強化を図り、地域の活力が創出されることを期待し、常に前向きの姿勢を崩さず取り組んでいきたいと考えている。

交流センターだいちのホームページ=http://www.iidanet.or.jp/~kouryu

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