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埼玉県加須市─こいのぼり日本一 こいのぼり製作で芽生えた参加意識 全長百十一メートルの“二世”、まちの顔に |
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加須市企画課係長 |
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斉藤重雄 |
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加須市は都心から約五十キロ、埼玉県の東北部に位置する人口約七万人の田園都市である。近年、「こいのぼりのまち」「手打ちうどんのまち」として全国的に知られるようになった。
とくに「こいのぼりのまち」に関しては毎年、五月のゴールデンウィークに実施している日本一大きな「ジャンボこいのぼり」の遊泳が、マスコミなどで報道され、ご存じの方も多いかと思われる。
こいのぼりは武家政治のころ、男児の出世を祈って端午の節句に屋外に家紋を印した旗指し物や幟(のぼり)を立てる風習があったが、武家にしか許されなかったため、江戸中期に町人たちが旗指し物や幟の代わりに、鯉の吹き流しを飾ったのが始まりである。
こいのぼりの由来は、中国の黄河上流にある竜門に、泳ぎ昇ることができた鯉だけが昇天して竜に化するという「登竜門伝説」にあり、鯉は「鯉の滝のぼり」と言われるように、非常に威勢のよい魚としても知られている。
加須のこいのぼりは、明治初めのころ、傘やちょうちんを作っていた人たちが、材料の和紙を利用して作ったこいのぼりを、露天などで売ったのが始まりと言われている。その後、材料が木綿に変わるとともに、職人の技術も向上し、大正の中ごろには「手がきこいのぼり」がお目見えし、そのころからこいのぼりの生産地・加須が形づくられた。その後、生産量が年々増え、全国一の生産地として脚光を浴びるようになった。
現在、材料や技法は変わってきているが、伝統技法を受け継ぎ、「手がきこいのぼり」の生産を続けている業者もおり、全国シェアは五〇%以上、年間七十万〜八十万本を生産し、量・質ともに、今なお日本一を誇っている。
マラソン大会やグッズも
当市では、この伝統的な特産品である「こいのぼり」をキーワードに、イメージアップや地域振興施策を実施し、個性的なまちづくりを進めようと、昭和六十一年に「こいのぼりルネッサンス」と題する環境整備計画を策定した。
以後、この計画に基づき、こいのぼりを形どった噴水や錦鯉の泳ぐ池のある「会(あい)の川親水公園」や、並木にこいのぼりなどのモニュメントをあしらった「やぐるま街道」などの整備を進めてきた。
このほか、駅前広場や市民運動公園、市庁舎内に年間を通じてこいのぼりを泳がせたり、職員の名刺はもちろんのこと、市の封筒や市政要覧、その他各種刊行物の表紙に、こいのぼりをデザイン化したり、その写真を載せたりするなど、矢継ぎ早に手を打ってきた。平成八年からは、市の四大イベントの一つとして「こいのぼりマラソン大会」を開催し、全国から大勢の参加者を集めるなど、これらの取り組みにより、「こいのぼりのまち加須」を全国的に情報発信してきた。
県も、当市の玄関口である加須駅から北に延びる県道をカラーで舗装し、歩道に敷きつめたタイルをこいのぼりの図柄にした。現在、整備を進めている「加須はなさき水上公園」では、こいのぼりを形どった「鯉の森」と称する散策路を整備したり、市の取り組みに歩調を合わせた事業を推進している。
さらに、こいのぼりによるまちおこしの動きは、広く民間にも波及し、「こい」の名のつくオリジナル和菓子やこいのぼりのキーホルダー、ネクタイピンなど、こいのぼりグッズも続々と登場している。
GWに遊泳、大観衆が見学
昭和六十二年十二月、加須青年会議所のメンバーが中心となり、翌年、開催された「さいたま博覧会」に全長百メートルのこいのぼりを出展し、加須をPRしようとその製作を企画した。
これを受けて、市民延べ約四千人がその製作に参加し、全長百メートル、重さ六百キロのジャンボこいのぼりが同六十三年二月に完成した。残念ながら、さいたま博覧会への出展には至らなかったが、市民の健康と平和を祈念して、平成元年四月に開催された「第一回市民平和祭」でその初遊泳が実現し、見事に成功した。それ以降、市民平和祭の目玉として、毎年、ゴールデンウィークにジャンボこいのぼりの遊泳が見られるようになった。
ジャンボこいのぼりが製作されて八年が経過すると、遊泳による損傷も目立ってきたため、今度は全長百十一メートル、重さ七百三十キロのジャンボこいのぼり“二世”を、市民延べ約二千人が参加して平成八年二月に製作した。この年の市民平和祭では、その初遊泳の雄姿を見ることができた。
この日本一大きなジャンボこいのぼりを一目見ようと、毎年五月には県内外から約七万人もの観衆が集まり、当市のビッグイベントとなって定着している。
さらに、「こいのぼりのまち加須」を全世界にPRするため、平成八年と十年には、ハワイで開催された「ホノルルフェスティバル」でジャンボこいのぼりの遊泳を行い、世界中の注目を浴びた。
はぐくまれる郷土意識をまちづくりに
急激な都市化の進展は、地域コミュニティの結束を弱め、市民としての共同意識の低下が見られたが、ジャンボこいのぼりの製作や遊泳時におけるボランティア活動の広がりなどを通じて、市民の参加意識が芽生えてきたことはまちづくりを進めるうえで、大いなる前進といえるだろう。近年、実施した市民意識調査でも、「こいのぼりのまち」が必ず上位を占め、こいのぼりを通した郷土意識が大いにはぐくまれてきたようだ。
今後は、これまで定着してきたこいのぼりをテーマとした取り組みをさらに充実させ、市の将来都市像である「生き生きとして希望に満ちた住みよいまち」づくりを展開していきたいと考える。
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