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北海道名寄市─雪質日本一 広域提携のシンボルが「天」の火文字 週末には雪上車で冬山観光も |
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名寄市産業振興課主査 |
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金田典子 |
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名寄市は、北海道の北部に位置し、東西を山地に囲まれた盆地の中にある。その市街地は南北に貫流する天塩(てしお)川と、東方から天塩川に合流する名寄川とに囲まれている。
雪像づくり競う─五大陸
先人たちが、この名寄の地に鍬を入れて百年。岐阜や山形の比較的暖かい地方から、この寒冷多雪地方へ入植して来た人びとにとって、冬との戦いが最優先の課題であったろう。今、私たちは厄介者だった雪と親しみ、それを利用できるようになった。子供たちにとって、白く輝く雪は無限の可能性を持った遊び道具である。雪だるまづくりから雪像製作、さらには芸術活動にまで発展させてきたのが、例年行っているイベント「雪質日本一フェスティバル」である。
名寄市は、気温がマイナス三十度に下がることもあるので、雪質はべとつかず、さらさらして、きめこまかい。いわゆる「パウダースノー」といわれ、それが日本一の雪質といわれるゆえんだ。
十二年度については、名寄市開拓百年協賛事業となることから、その名称を「なよろ国際雪像芸術祭」に変更して、二月十三日から十八日まで開催する。
この芸術祭は、二十一世紀を迎え、新たな北国からの情報発信のイベントと位置付け、「雪像彫刻世界五大陸大会ジャパンカップ」と命名された。これは海外から十四カ国、十五チーム、国内選抜チーム五チームの計二十チームが雪像づくりの技を競い合うものだ。作るのは三メートル四方の雪柱の彫刻で水を一切使用せず、芸術性を追求したスノーオブジェが、名寄の街全体を美術館に変える。
全道学生対抗スノーオブジェ競技会も同時に開催される。学生にとっては、プロのオブジェ製作は勉強になるので好評。これら芸術性の高いスノーオブジェ競技会の原点は、市民による雪像づくりで、五十年も継続している。「おらの雪像見てくれコンクール」も十年目を迎える。これらは家族や職場の仲間が寒中での作業となるが、そこから一層の団結力が生まれる。入賞と関係なく、楽しみながらの製作で、年を追うごとに参加チームが増えている。
ドラム缶270本を用意
「雪質日本一なよろのまち」で、独創的な造形美を披露している街を見下ろすかのように、名寄市郊外の太陽の丘に毎年二月、「天」の火文字が現れる。
このイベントは、平成元年二月十八日夜、北の天文字焼きに点火されたのが始まり。その中心となって活躍してきたのが、まちおこし集団の「助っ人」。
道北十四市町村は、広域的な提携によって、地域の活性化を図ろうと「北の星座共和国」をつくり、それに基づいて各市町村に星座名が付けられた。名寄市は「太陽」。火文字の「天」は、これら十四市町村の星座名でつないで描いており、広域的な地域活性化への願いが込められている。火文字の会場が太陽の丘と名付けられているのも、名寄市の星座名にちなんだものだ。
今年はドラム缶を二百七十本用意し、そのドラム缶の中に市民が持ち寄った古着を詰めて灯油をかけ点火するが、「天」の火文字は縦が二百二十メートル、横が百五十メートルの規模となる。点火に参加する市民も二百二十人。市民の間では定着したイベントとなっている。
名寄市は、平成元年度に北海道の戦略プロジェクト「利雪・親雪プログラム」のモデル都市に指定された。それを契機に市は「冬を楽しく暮らす条例」を制定し、さまざまな分野で雪や氷、寒さに対する取り組みを行ってきた。その中の一つに「スノーランタンフェスティバル」がある。
市民参加で幻想の世界
スノーランタンは、硬く締まった積雪を筒状の缶で切り取り、その後の空洞にローソクをともすと出来上がる。幻想的なスノーランタンの明かりを雪原に約三千個並べると、アイスキャンドルとは、また違った趣のほのかな雪明かりがともり、ファンタジックな世界が生み出される。十三年は、開拓百年記念でもあり、毎年催される名寄短期大学公園のスノーランタン。そこから見渡せる天文字焼き。東小学校の校庭からは軽音楽の演奏が聞こえてくる。製作作業から点火まで市民参加によって運営され、温かいコーヒー牛乳と、お汁紛がスノーランタンの明かりと共に冷えた身体を暖めてくれる。
雪質日本一のピヤシリスキー場が毎年十二月にオープンする。
ピヤシリスキー場は、初心者から上級者まで多彩なコースがあり、何よりも都会近郊のスキー場と違い、リフト待ちがほとんどない。スキー場近くには、リフトを備えた七十メートル級ジャンプ台があり、シーズン開幕のトップを切って全日本ジャンプ大会が開催されることでも有名である。
今年三月には世界のジャンパーたちが集い、ワールドカップ・コンバインド競技会が開催される。そのほか、あまり知られていないが、ピヤシリスキー場には、日本でも珍しい雪上車を使用した冬山観光が行われている。
「ワンダーピヤシリ九八六」といい、市民からの公募でこの名称が付けられた。標高九百八十六メートルのピヤシリ山頂まで冬の日曜、祝日に運行される雪上車は、樹氷の合間を縫って静けさの中を悠然と登る。往復三時間の旅は圧巻である。冬山の楽しみは、白い世界で自然がつくり出す芸術を目にすることである。
感動するサンピラー現象
このピヤシリには、わが国でも珍しいサンピラーという自然現象が出現する。太陽柱とも呼ぶが、マイナス二十度以下の名寄のしばれた早朝、キラキラと輝く一本の柱は、太陽と見る人の間にある氷晶が太陽により光り輝き、「サンピラー」となって目の前に突然現れる。
しかし、名寄に長く暮らしている人たちでさえ、なかなか見ることができない現象で、それを目にできた人は感動のひと言であろう。
このように積雪寒冷地帯で暮らす名寄の住民は、冬を避けることより、冬を前向きに受け入れようと、名寄らしい冬の生活文化の創造と発見のため、独自の住民活動を続けている。耐える雪から親しむ雪へと…。まちと市民が一体となり、取り組んでいるこれらの活動の成果は、生き生きとした冬の暮らしとなって表れてきている。
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