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66 青森県蓬田村

「蓬田商工会女性部」二唐美代子さんら
「北のよもぎ茶」と入浴剤が大ヒット
地域資源を生かした知恵の結晶

(財)地域活性化センター研修交流課副参事

木村隆広

 青森駅から竜飛崎方面へJRで約四十分、蓬田(よもぎた)村に着く。総面積の八〇%は山林だが、古くから漁業、農業、酪農が盛んだ。中山山脈から流れる四本の川の豊かな農業用水を利用して、長い年月をかけて作り上げた美田が広がる。穏やかな陸奥湾のホタテ養殖が水産物水揚げ量の九〇%を占め、冬場は村営の牧場がスキー場に変身する。
 好天の日は、正面に夏泊半島、北東に下北半島が一望できる。樹齢三百年以上の老松が美しい観光名所「玉松台」は、夏にはキャンプもでき、大勢の観光客で賑わう。隣接する「古城の沼」は整備が進み、松風の聞こえる静かなたたずまいをみせている。

豊かな村に商工会女性部

 大自然に囲まれた、そんな蓬田村を舞台に、商工業の振興と取り組み、活発に活動している女性グループが「蓬田村商工会女性部」。蓬田を心から愛し、村の活性化のために奮闘している部長の二唐美代子さん、副部長の佐藤礼子さんと、田中芙美子さん、それに常任委員の小鹿悦子さんと、工藤サツエさん、事務局の八戸緑さんに集まっていただき、活動の様子をうかがった。
「蓬田村商工会女性部」は昭和五十五年十一月に設立されたので、今年で二十一年目になる。現在、部員は三十人。「最初は男性のお手伝い程度で、これから何ができるんだろうと不安が先に立っていた」と二唐さんは設立当時を振り返る。部長を支える佐藤さん、田中さんは、そんな二唐さんを、「どっしりとした存在感と温かさがあふれ、部員からの信頼は抜群」と評価すれば、八戸さんも「責任感と統率力があり、安心して仕事ができる」と信頼を寄せる。
 弘前市で生まれ育ち、三十八年前に蓬田に移り住んできた。今で言えばIターン者である。蓬田に越してきた当初は戸惑いもあったが、持ち前のバイタリティで乗り越えてきた。村への思い入れも人一倍強く、活動にも熱が入る。「家業は刀鍛冶屋だけど、今は主人に任せ、私は女性部の仕事が中心。皆が協力的なのでやりがいがある」と楽しそうに話す。

美容と健康をあなたに

「蓬田村商工会女性部」は、商工業振興を目的に、各種の講演会や研修会の開催、「デュアスロンin蓬田大会」「玉松海まつり」「犬ぞりレース」など村のイベントをボランティアとして支えながら、むらおこしのための特産品開発など多岐にわたる活動を展開している。「いろんな地域資源を、部員のアイデアで特産品として開発・販売することができれば…」と二唐さんは熱っぽく語る。その中から大ヒットとなったのが「北のよもぎ茶」。二唐さんが健康のために続けていたよもぎ茶を、自宅でみんなにふるまったところ、まわりからぜひこれを売り出そうという話になった。
「北のよもぎ茶」とは、東北らしいイメージを意識して「北の」とつけたうえで、蓬田のよもぎ、を全面に出して「よもぎ茶」と名付けられたという。「五月、七月、九月のよもぎの採取作業は大変だけど、柔らかいうちに摘んだ、天然のよもぎの葉と玄米で作った手作りの『北のよもぎ茶』は、美容と健康に最高」と二唐さんたちは胸を張る。村内にある物産館「マルシェよもぎた」や、青森駅構内および青森ベイエリアのランドマーク「青森県観光物産館アスパム」で販売しているが、広島、小倉、札幌、沖縄など全国各地で催した物産展でも大好評を博した。「蓬田はよもぎの里」のキャッチフレーズが、今では全国的に浸透しつつある。

次世代を小中学生に期待

 続いて開発したのが、よもぎの葉の効用を生かした入浴剤。温かみのある青森弁を生かして「北のぬぐもり」と命名され、「北のよもぎ茶」と一緒に販売している。平成四年に、村民の健康づくりを願ってオープンした「ふれあいセンターよもぎ温泉」にも、この「北のぬぐもり」が使用されている。よもぎが血液の循環を促進し、湯冷めしにくいと言われることから、村民のみならず観光客にも親しまれている。
「北のよもぎ茶」と「北のぬぐもり」で、年間約二千万円の売り上げがあり、女性部にとっては貴重な活動資金となっている。
「村おこしはどこでも行われているが、それを効果あらしめるのは販売にかける意気込みと、ちょっとした工夫の問題」と事務局の八戸さんは語る。
 その「蓬田村商工会女性部」にも悩みはある。「村の人口が減少し、高齢化が進んでいるので、先行きがやや不安」という二唐さん。その心配を吹き飛ばすには人づくりが緊急の課題だ。次世代を育てるため、女性部が主体的に取り組んできた海岸清掃のボランティアに、将来を見据えて小中学生まで参加させ、すそ野を広げているのもそのためだ。
 明るく、バイタリティにあふれる二唐さんたちに将来の夢を語ってもらった。
「蓬田村は季節ごとに楽しみ方があるので、この地域資源を生かして、一年中、観光客で賑わうようにしたい」「よもぎは健胃、分泌促進作用があり、健康増進に効用があるといわれる。次は独自のよもぎ酒を開発してみたい」など。

将来の夢は女性パワーで

 地域間交流にも前向きに取り組んでいる。津軽海峡を挟んだ九町村による商工会主催の合同産業展が昨年で十年目を迎えた。青森から函館まで、将来の新幹線開通を目指し、民間の交流は青函を越え、手を携えている。「私たちの活動がきっかけになって、村の商工業が発達していけば、仕事も増えて人手も必要になる。国道280号線バイパスが開通すれば、アクセスもさらに良くなり、観光客だけでなくUJIターンなどで村の人口を増やすことも夢ではない。そんな活気にあふれる蓬田村を女性の力で実現したい」と皆さん、そろって明るく話してくれた。
「蓬田村商工会女性部」の前途は、女性のパワーと熱意で、蓬田の青い海と玉松台に広がる澄んだ空のように明るく輝いている。





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