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岐阜県大垣市 「奥の細道むすびの地」は俳句のまち 川下りで詠み、インターネットで投句 |
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大垣市教育委員会文化振興課主任指導主事 |
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牧村昭伸 |
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元禄二(一六八九)年の秋、松尾芭蕉は世に名高い「奥の細道」の旅を、ここ大垣で終えた。大垣にしばらく滞在し、市内を流れる水門(すいもん)川の船町港から伊勢神宮の遷宮を参拝するために舟で桑名へ下った。その折に芭蕉は「蛤のふたみに別行秋そ」と詠み、見送りの大垣の俳友と別れた。
芭蕉が大垣を訪れたのは、これより五年前の貞享元年、「野ざらし紀行」の途中、俳友谷木因(たにぼくいん)を訪ねたのが始まりで、芭蕉と谷木因は、京都の北村季吟(きたむらきぎん)の相弟子であったことから、木因の再三の誘いを受けてのものであった。芭蕉は計四回大垣を訪れているが、三回目の来垣が奥の細道の旅のときである。
当時、大垣の俳諧は、大垣十万石の城主戸田公の文教奨励もあって、谷木因の指導のもと、大垣藩士らを中心に盛んであったが、芭蕉の四回にわたる大垣への訪れは、大垣俳壇に新風を吹き込み、これを機に「蕉風」俳諧は美濃一円に広がり、以後、美濃俳諧としての基礎が固まった。
芭蕉に出会おう
大垣市では、「奥の細道むすびの地」としての歴史的な遺産を大切に守りながら、近代的な文化の香り高いまちづくりに取り組むとともに、「芭蕉に出会おう『大垣』」をキャッチフレーズにして観光資源としても活用している。
船町港を中心とする奥の細道むすびの地は市の文化財に指定され、芭蕉が大垣を発つときに詠んだ蛤の句を刻んだ「蛤塚(はまぐりづか)」がすぐ近くに建てられている。また、その周辺には芭蕉や木因ゆかりの多くの句碑や像が建てられ、遊歩道も整備されている。さらに、芭蕉や木因ゆかりの資料を収集し、展示している「奥の細道むすびの地記念館」もある。
また、JR大垣駅や奥の細道むすびの地に観光案内所を設置し、市内の観光の拠点として周辺の景観を整備したり、無料の句碑マップ「芭蕉と大垣」や投句箱を置いている。
松尾芭蕉の業績を顕彰するとともに、地域の活性化に結びつく活動と郷土の歴史文化の活用をさらに推進していくために、昭和六十三年にゆかりの市町村や関係機関に呼びかけ、「奥の細道サミット」を開催した。サミットは平成十一年度で十二回目を重ねた。
川風受けながら観光と吟行
本市独自の事業としては、四月上旬に「舟下り芭蕉祭」、十月下旬に「奥の細道むすびの地『大垣』全国俳句大会・少年少女俳句大会」を開催している。
舟下り芭蕉祭は、市の中心部を流れる水門川の川下りを中心としたイベントである。水門川は大垣城の外堀であった川で、大垣に集散するさまざまな物資を運ぶ主要経路として活躍し、明治時代に入っても、大垣と桑名間の物資や人の輸送に大変なにぎわいを見せていた。
この水門川を七〜八人乗りの小舟で下る。約二キロのコースをゆっくりと下り、その途中、俳句をひねったり、芭蕉にちなんだクイズを楽しんでもらう。舟は十艘くらい。下り終わると、お客さんを降ろし、船外機でスタート地点に戻って次のお客を乗せるから、参加者はかなりの人数になる。
舟下り芭蕉祭はこのほかに、奥の細道むすびの地周辺でのファミリー俳句ing(ハイキング)(スタンプラリー形式で、ゆかりの地の銘菓を配布)や俳句まつりの投句、バザー、野点などを行い、気軽に楽しみながら俳句に親しみ、奥の細道むすびの地「大垣」を理解していただくように心がけている。
全国俳句大会は十一年度で十一回目を迎え、ようやく全国的に定着してきたところで、全都道府県から俳句の応募が得られた。当日は午前中、芭蕉翁の遺徳をしのびつつ顕彰する「芭蕉蛤塚忌(こうちょうき)」の式典を「蛤塚」前で行い、午後から俳句大会として事前投句と少年少女俳句の表彰や当日投句の受け付けと表彰、中央選者の記念講演などを行った。全国に奥の細道むすびの地「大垣」を発信しているイベントであり、俳句愛好家をはじめとしていろいろな人たちの間に徐々に知名度が高まってきている。
大きなイベントだけではなく、市民による俳句活動も盛んである。市内の俳句愛好者の各団体が結束して、俳句協会が結成され、互いに交流したり、合同で活動している。また、市の文化事業団が主催し、俳句の初心者を対象とした「市民俳句教室」、次代を担う少年少女を対象とした「少年少女俳句教室」を年間を通して開催し、俳句に親しんでもらう機会や場を提供している。
情報都市づくりと俳句
本市は情報化をキーワードに、情報化による地域生活の向上に取り組んでいる。保健、福祉から生涯学習に至るまで、幅広い市民サービスのための情報ネットワーク化を進めているが、その一環として、俳句や観光面でも情報化を取り入れている。
観光面ではインターネットで市のホームページを開設し、奥の細道むすびの地をはじめ、さまざまな観光情報を提供している。俳句も「マルチメディア俳句」と銘打って、インターネット俳句を取り入れ、ホームページにリンクすれば、いつでもどこからでも、俳句の投句や作品の閲覧ができる。全国俳句大会の作品募集期間中は、作品をインターネットでも受け付けている。
このように、奥の細道むすびの地「大垣」と伝統文化の俳句を情報化時代とうまくマッチさせ、より多くの地域や人びとに大垣市を発信し、地域の活性化に結びつけていくように模索し始めたところである。
【奥の細道サミット data】
●結成時期 昭和63年10月、岐阜県大垣市で第1回を開催。
●目的 松尾芭蕉の「奥の細道」紀行にゆかりのある市町村と関係機関が、蕉翁の業績を顕彰するとともに、郷土の歴史・文化の認識と活用を深め、地域の活性化に結び付く活動を展開し、相互の交流を図る。
●開催方法 毎年、参加市町村の持ち回りにより開催し、第13回の今年度は10月に岐阜県垂井町で予定している。
●歩み 「奥の細道」紀行300年を契機として始まり、芭蕉および「奥の細道」に関する調査・研究、情報の交換、芭蕉の顕彰を行っている。第1回開催地の大垣市は「奥の細道」の最後の地、第12回(平成11年度)の東京都江東区はこの紀行の旅立ちの地である。江東区サミットでは、記念イベントとして俳句指南(子供の部と一般の部)やシンポジウム、芭蕉ゆかりの地の視察などがあった。
●参加自治体数 34市区町村、4社寺・機関(平成11年9月現在)
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