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ヨーロッパ地域づくり視察団
環境対策や市街地活性化に真剣な取り組み

(財)地域活性化センター総務課長

川名 茂

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 (財)地域活性化センターの平成11年度欧州地域づくり視察調査団は10月18日から12日間、「環境・福祉・市街地活性化・農村活性化」をテーマに、ドイツ、スウェーデン、イギリス、フランスを歴訪した。
 国、地方自治体職員11人、民間企業社員4人、団体職員6人で構成する総勢21人(団長=大野博見地域活性化センター事務局長)は、訪問先で特色ある地域づくりを視察調査した。

環境首都第1位
●ドイツ─ハイデルベルグ市

 最初の訪問地であるハイデルベルグ市は、人口十四万人の観光と大学の街であり、ゲーテが一番好きだった街というだけに美しい街並みである。一九九六年十一月には、ドイツ環境保護支援協会が二年ごとに実施している環境首都表彰に約百五十都市の中から第一位に選ばれた。市から依頼を受け、われわれ調査団に詳しく説明してくれたドクター・ハインツ氏(生物学者)によれば、この受賞はベアーテ・ヴェーバー市長(女性)が一九九〇年の就任以来、一貫して環境対策に強い指導力を発揮して取り組んできた結果という。助役三人のうち一人を環境担当助役として環境保全やゴミ、さらには農業、消防に当たらせている。
 とくに環境分野では、小さな子供に環境保全の意識を強く持たせるために、学校にエネルギーチームをつくり、子供たちがエネルギーを節約できた分の四割程度を報奨金として与え、生徒会では、その資金で太陽エネルギー利用のプールの温水装置を設置するなどの取り組みをしていることが興味深かった。また、家庭ゴミの分類の徹底によるリサイクルの啓蒙や、そのための行政改革については非常に参考になった。
 さらに、アンドレス・クンマー氏(エネルギーコンサルタント)からは、省エネを推進する環境省エネ建物の建築の推進の取り組みについて説明を受けるとともに、省エネ住宅を視察した。

高齢者福祉対策
●スウェーデン─ルンド市

 風力発電のプロペラの見えるコペンハーゲンの港からフェリーでスウェーデンのマルモの港に入国した。冬の日本海のようにどんよりした空、さすがに寒い。訪問するルンド市は、ここから十キロのところだ。スウェーデンの法律によって、自動車は一年中二十四時間、ライトをつけての走行である。
 ルンド市は二十一町村が約二十年間かかって合併した市で、人口は一万六千五百人であるが、周辺を含めると十万人の広域行政を行っている。説明してくれた市の厚生部長と三人のスタッフは全員女性である。
 老人ホームを視察したが、非常に恵まれた環境と施設には圧倒された。収容されている五十三人の高齢者と六十人のスタッフがいて、スタッフはチームごとにフレックスタイムを採用した介護を行っている。九十七歳の女性の部屋を拝見させていただいたが、きれいに整理整頓された部屋に家族の写真があり、人懐っこい笑顔でわれわれに語りかける。とても若く元気で、年齢を聞いても信じられない。収容されている平均年齢は九十歳と聞いて、「さすがに福祉先進国」と驚き、また圧倒的に女性が多いと聞いて、「女性の長寿はどこも同じかな」と納得させられた。
 公的介護保険制度の導入に伴うわが国の将来の高齢者福祉対策の在り方を学ぶうえで、非常に参考になる視察であった。

地域経済振興
●イギリス─シェフィールド市

 シェフィールド市へ向かう専用バスの車窓からは、広いなだらかな牧草地と、ところどころにぽつんと羊や牛のいる景色が延々と続いている。
 シェフィールド市はイングランド北部の人口五十三万人の中核都市である。伝統的な市庁舎では、ロードメイヤー(市長=議員の中から一年任期で選ばれる)が夫人同伴で歓迎してくださった。
 かつて鉄鋼業の街として栄えていたが、公害の街であり、魅力のない街でもあった。一九七〇年代後半に不況に陥り、三年間に五万人もの失業者が発生して、後には公害に汚染された街だけが残ってしまった。このため市は都市開発公社を設立して都心に隣接する大規模遊休地(製鉄所跡地など)を戦略的に整備するとともに、積極的なマーケティング戦略とプロモーション活動を展開して市のイメージアップを進めた。これらが民間投資と雇用拡大の好循環を生み、新たな活力を取り戻したということである。また現在進めている中心市街地のプロジェクトについても詳しく説明をいただいた。

グリーンツーリズム
●フランス─ルエ・ラ・ガペレエレ村

 パリから九十キロの距離にあるルールロワール県シャルトル市から五十キロ離れたルエ・ラ・ガペレエレ村を訪問した。見渡す限り田園風景が続く村である。
 われわれを歓迎してくれたのは、ルールロワール県農業会議所所長のアンドレ・モラン氏とグリーンツーリズム振興協会会長のマルチーヌ・ユエさんである。
 フランスでは、農業従事者と農業収入の減少が続いたことから、農家の観光事業と生産物販売を支援することで農業の振興を図ってきた。ルールロワール県はパリから近いという有利さがあり、農村での余暇を楽しみたいという都市住民の需要に応じてグリーンツーリズムの盛んな県である。農業会議所は国の機関で、各県単位に国と農民の間に立って助言する役割を果たしており、農業従事者が観光事業に携わるための技術的サポートをしている。
 マルチーヌさんの経営する百年以上たった納屋を改造した農家滞在型民宿や、古い建物を保存しながら農家の生産物と地方の特産物を使った郷土料理を提供する農家料理店を視察した。グリーンツーリズムの先進地として農村の文化を守り、また古い建物を利用しながら農村住民の生活水準を向上させており、農村観光の在り方について学んだ有意義な視察であった。
 以上、視察調査の概略を述べたが、今回の調査結果を今後のまちづくりの参考としていきたい。

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