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「じんのび悠人」中野さんら 足で調べたタウンマップが好評 次のテーマは「町の名人」カレンダー |
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(財)地域活性化センター総務課 |
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宮本明人 |
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金沢市からバスにゆられること二時間二十分、石川県能登半島の門前町に降り立った。途中、車窓から見える日本海に沈むドラマチックな夕陽に心洗われ感動しつつも、とにかく遠い、というのが偽らざる心境である。
門前町は人口九千人余りの農林水産業が中心の町である。特産品として伝統と素朴な風味の門前そばがあり、希望者はそば打ちの体験もできる。今回はそんな門前町に「じんのび悠人(ひまじん)」を取材するために訪れた。
のんびり、がんばって
じんのび悠人は、中野文恵さん、宮下京子さんをはじめ女性ばかり十人で活動している団体である。「じんのび」とはこの地方の言葉で、ゆっくりとか、ゆったりという意味であり、つまり、忙しいけれどのんびりとがんばってやっていきましょう、ということでこの名前がつけられたという。
設立は平成四年、この年の十一月に門前町が主催する「第四回日本海文化交流会議・まちづくりフォーラムin門前」に参加したのがきっかけである。フォーラムは分科会形式で行われ、中野さんたちの分科会は、(財)地域活性化センターが行っている全国地域リーダー養成塾の主任講師でもある、猪爪範子氏が座長を務め、パネリストとして木村厚子氏(当時小松市役所職員、現在は小松市議会議員)が参加しているものだった。
ここで二人の話に感銘を受け、自分たちも理屈抜きにとにかく何か行動を起こしたい、ということで、中野さんと宮下さんが中心になってフォーラム参加者とともに会を結成した。いざ活動の段階になって、まずは木村氏に相談、メンバー全員が木村氏のわかりやすい話し方に感動していたことから、まずは木村氏を講師として「話し方教室」を開催することにした。
地元の人ならではの視点
やがて話し方教室はさまざまな問題について話し合う勉強会へと発展してゆき、その中で地域づくりの話になったとき、自分たちの住む門前町について案外知らないことが多いことに気が付いた。そこで、もっと町を知るために、そして門前の町を多くの人にアピールするために、タウンマップづくりに取りかかることにした。メンバーは「人」「祭り・イベント」「風景・食べ物」の三つのグループに分かれて、従来はあまり知られていないが、もっとスポットを当てるべきだ、とメンバーが考える、人や名所旧跡、そして食文化について取材を行った。
メンバーは、従来からある門前町の地図は、たとえば写真と説明文とが別々に掲載されていたりして非常に見づらい、という印象を持っていたため、自分たちでつくるタウンマップは子供からお年寄りまで、だれが見てもわかりやすいものに仕上げようと企画した。そして二〜三カ月の取材を行い、出来上がったのが「ほのぼの門前・イラストマップ」である。
このマップは縦八十四センチ、横六十センチで、取材した会員が推薦する六十カ所余りの「名所」を楽しいイラストと文で紹介している。この中でユニークなのが、自分たちで各名所の名前を付けていることである。たとえば、歩くと「キュッキュッ」と音がする泣き砂伝説の琴ケ浜には「愛のささやきライン」、美しい海岸線には「しおさいライン」、猿山自然歩道には「フラワーライン」、釣り人たちの集まるスポットには「フィッシングライン」などである。また、源氏蛍が見られるスポットや多くの野鳥に出会えるスポットなど、地元の人ならではの視点から拾い上げている。
マップは一部百円で市販したところ、わかりやすいと好評で、とくに女性からの評判が良かった。また、「第一回ほっと石川観光ホスピタリティ賞」を受賞するなど、各方面から高い評価を受けたのである。
一方、苦労も多かった。見やすいマップにするという目的から、イラストを多用したわけであるが、文章とイラストをうまくマッチさせるのが意外と難しい作業であった。また、メンバーが集めたすべての情報を、バランス良くマップ上に収めるのもひと苦労であった。
しかし、一番の苦労は何と言っても資金面の問題だ。マップは一千部印刷したので、それなりの資金が必要であったが、あくまでも自分たちの手でつくろうという考え方から、資金面の援助はどこからも受けなかった。そこで、町のふるさと祭りやそばの市でやきそばの販売を行って資金集めをしたのである。これは平成五年から始め、将来の活動資金を確保するため現在まで続いているが、郷土の味がたんのうできると、毎回大好評だそうである。
独立独歩の気概
現在は次の活動に向けた準備期間と位置付け、目立った活動は行っていないが、次回の活動のテーマは既にメンバーの頭の中に構想が出来上がっている。そのテーマとは「人間」である。門前の町には、一芸に秀でているが、人知れずがんばっている人たちが多い。そういう人たち、いうなればメンバーの目から見た「名人」にスポットを当てようと計画しているのである。この名人には、たとえばそば打ち名人、花づくり名人、漬け物名人など、だいたい百人ぐらい取り上げ、最終的には各名人を月別に掲載した一冊のカレンダーをつくりたい、ということである。
じんのび悠人のメンバーと話して感じたことは、とにかく自分たちがやりたいことをやっていることから皆が楽しんで活動している、ということである。自分たちが楽しんでいるのだから他人がどのように思おうと関係ない、そのかわり他から資金援助は受けずに自分たちだけで資金集めをしよう、ということである。
平成十五年には待望の能登空港が開港する予定である。開港後には、観光客が「ほのぼの門前・イラストマップ」を持って町なかを散策している様子が目に浮かぶようである。