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ゆとりの工夫 |
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奈良県総務部長 |
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関 博之 |
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奈良県だけでなく、全国どこの自治体でも厳しい財政難に直面しております。ほとんどの自治体で職員定数の削減や事務事業の見直しなどに精力的に取り組んでおり、財政当局も、事業の廃止を含め経費の節減に向けて大ナタを振るうようになっております。
この厳しい対応は、当然のことながらこれまで各自治体が独自に展開してきた地域づくりの施策にも影響を及ぼすことになり、施設を整備する際にはその規模や施設内容、イベントなどを実施する際にはその期間や各種団体との役割分担などが予算査定の段階で厳しく検討され、最少の経費で実施する努力が払われております。
私も奈良県という財政基盤の脆弱な台所を預かる身として同様の立場にあるわけですが、ただ、一方では、何が何でも切り詰めるという流れが強くなりすぎると、かえって効果的な地域づくりが失われてしまうのではないか、当面はしのげても将来に禍根を残す面が出てくるのではないかという感じもしております。
すなわち、施設整備などは一度建設すると直しようがない面があるわけで、このような時期こそ将来を十分に見越した判断が大切です。また、イベントなども経費を切り詰めることによって、かえってそれ自体がみすぼらしいものになっては、所期の目的が達成できないことになります。いずれの場合も、どこかに何らかの「ゆとり」のようなものを持たせる工夫をすることが必要ではないでしょうか。
先般ある県の美術館に出かけてみましたが、ロビーが広く、またガラス張りで借景がすばらしく、たくさんの人がロビーでくつろいでいる姿を見てほほえましく思いました。地域らしさを取り入れながら、このような「ゆとり」を施設のどこかに持たせる工夫を大切にしたいとつくづく感じました。かつてある施設の建設に携わった際に、エスカレーターを設けたまではよかったのですが、昇りのみで一人用の幅にしたために、何年後かに出向いた際にやや寂しく反省したことがありました。利用者の方々の視点から発想していけば、決して「豪華」という批判には至らないものと思います。現在奈良県では「万葉ミュージアム(仮称)」を明日香村に建設中ですが、万葉という名にふさわしい、また明日香らしい「ゆとり」を大切にしたいと思っているところです。
またこの点は、イベントなどのソフト面でも同じです。各自治体ともおおかたハードの整備は一定のレベルに達しており、これからの二十一世紀は既存の施設の活用も含めたソフト施策に力を注ぐことが多くなると思いますが、「活気」とともに、どこかに「ゆとり」を感じさせる工夫に努めたいものです。奈良は西暦二〇一〇年に「平城遷都一三〇〇年」を迎えます。現在「平城遷都一三〇〇年記念二〇一〇年委員会」を設立し、具体の事業の実施プランの作成段階に入っているところですが、全国の方々が奈良県を訪れてホッとするような「憩いのオアシス」らしい「ゆとり」のある事業プランになればと思っております。
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