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“おいしい水「山華の雫(さんかのしずく)」”で地域の誇りを次世代へ
1 地元学で見つけたおいしい水
鍾乳洞の周辺は、草木が生い茂る山林で、民家は無く、人が立ち入るようなところではなかった。鍾乳洞から湧き出た水は、能舟木川に流れ、その一部は地区内の家庭用水として昔から使われていた。 一方、岩手県には、岩手県総合計画に基づく地域づくりの実践手法として「いわて地元学」というものがあった。釜石市は、その考え方を受け、第五次釜石市総合計画で定められた「釜石市鉄と自然の博物館構想」に基づき、平成12年度から地域資源調査「いわて地元学in栗橋」を始めた。この地域資源調査は、隣接する栗林町を含む栗橋地区で「水にかかわる風土と暮らしを“水のゆくえ”でつないでみる」をテーマとして行われた。その結果、同地区の橋野町の地域に良い水が豊富にあることが再認識された。 2 おいしい水を全国に供給する取組
当初この取組については、橋野振興協議会が話し合って事業計画を進めていたが、設備投資に多大な費用が必要であることが判明し、八幡さん以外の会の方々は取組への参加を断念せざるをえなかった。しかし、以前から地域の活性化を図ることができないかと考えていた八幡さんは、周囲の反対を押し切り、工場までの林道や取水地となる鍾乳洞までの道を自前で整備し、私財を投じて八幡総業を設立した。 八幡さんは、商品の製造・営業・販売等の分野は未経験であったが、若者の雇用の場を確保し、過疎化が進む地域を活性化したいとの強い思いから、友人や知人のアドバイスを受けながら事業に取り組み始めた。ところが、ミネラルウォーターを販売するには、食品衛生法に適合しなくてはならず、小規模でも基準に合う製造施設が必要になった。八幡さんは、これに伴い、1億円を超える初期投資を行うことになった。 ミネラルウォーターの製造工程においては、豊富に湧き出る水は、空気に触れることなく工場内のタンクに運ばれ、ろ過・殺菌等の工程を経て、ボトリングされる。八幡さんの製造施設では、500mlボトルが1日に約4,000本、2Lボトルが1日に約2,000本製造され、合わせて年間に30万本以上製造されている。 ボトリングされた水は、“からだにやさしい・ナチュラルミネラルウォーター「山華の雫」”として、県内を中心に出荷されているほか、全国各地への直接販売されている。また、観光物産協会などの関係機関と連携し、県内外の物産展への出展も行われている。 八幡さんは、年間3,000万円の売り上げを目標に掲げ、販売促進活動を展開しながら、三陸・釜石と名水「山華の雫」を全国にPRしている。 3 事業の成果−地域主体の地域づくりへ この事業の成果を見ると、ナチュラルミネラルウォーター「山華の雫」の売り上げは、現在は年間2,700万円ほどになっている。 また、「山華の雫」の製造販売のため箱詰めやラベル貼りなどの作業が必要になることから、地域内の主婦8人がパートで雇用されているほか、地元出身学生の夏休みの帰省時のアルバイト先になるなど、新たな雇用が生まれている。 さらに、鵜住居川流域で行われているグリーンツーリズムの新たなプログラムの検討や地域内の産直施設との連携等についての話し合いが橋野振興協議会で行われるなど、若者を中心に新たな取組に向けた動きが見られるようになった。 地元学の手法を用いた地域資源調査を通じ、改めて身近にある水の価値を認識し、八幡さんが中心となって取り組んだミネラルウォーター事業は、こうして様々な地域活動の起爆剤的な役割を果たしている。 4 今後の地域資源のブランド化
今後のナチュラルミネラルウォーター事業の方向としては、「三陸・釜石の水」としてのブランド化に向けた新たな展開と、釜石市出身者等のネットワークを生かした販路の開拓についての検討がなされている。
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