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事例4 愛知県瀬戸市

市街地再開発事業(パルティせと)市民会館建て替え事業(瀬戸蔵)
〜せともの文化と出会うまちづくり〜

●自治体Data ●パルティせと ●瀬戸蔵

千年余の歴史と伝統を誇るやきもののまち
 愛知県瀬戸市は、千年余の歴史と伝統を誇る「やきもののまち」として栄えてきた。しかし近年、瀬戸川を軸として繁栄してきた中心市街地は、陶磁器産業の低迷や都市基盤の未整備、周辺丘陵部の住宅開発による郊外化などの影響で、商店数及び販売額が減少し、郊外への大型店やロードサイドショップの進出により、地元購買率が低下しつつあった。

中心市街地の活性を目指して
〜瀬戸を訪れる人と市民が生き生きと交流できる舞台 せと・まるっとミュージアム〜


●パルティせと

●せと案内処(旧蔵所交番)

●窯垣の小径

●エントランスホール(1階)

●市民交流広場(3階)
 このような中、瀬戸市では平成9年に市南東部の丘陵地を会場の一部として、平成17年に日本国際博覧会(愛称:愛・地球博)が開催されることが決まり、それを契機として「やきもののまち」の伝統や風土を生かしながら、時代の流れと融合する新しいまちづくりが進められることになった。そこで、瀬戸市が提唱したのが、「せと・まるっとミュージアム構想」である。「せと・まるっとミュージアム」とは、まちの歴史的・文化的資源に光をあて、まち全体を美術館・博物館に見立てることで、観光を目的とした来訪者の回遊を促し、交流と創造を意識した魅力あるおもてなしのまちづくりを進めていくことを目指したものである。
 この「せと・まるっとミュージアム構想」に基づき、名鉄瀬戸線尾張瀬戸駅前ビル「パルティせと」や、複合施設「瀬戸蔵」が新しいまちの顔として建設された。また、市民自らが瀬戸のまちを見つめなおし、その魅力を来訪者に伝えていくことができるように「瀬戸百景」の選考や「街角ギャラリー」の募集といった地域資源の発掘の取組みも行われている。

未来へと歩み続けるまち瀬戸のエントランスゲート 〜パルティせと〜
 「パルティせと」は、市民・近隣の大学関係者・学生・市職員などから構成された駅ビルワーキンググループにより、基盤となるコンセプトから具体的な構想まで作られた。
 こうして固められた構想のもと、「パルティせと」は世界的建築家黒川紀章のデザインによる洗練された美しい姿で中心市街地における市民のにぎわいの拠点として平成17年2月に尾張瀬戸駅前にオープンした。
 「パルティせと」は市民の様々な活動の拠点として、また、瀬戸市への訪問者に対する観光情報の発信の場としての機能も果たしている。
 この施設の運営主体は瀬戸まちづくり株式会社で、各フロアには現在、1・2・6階に飲食店、歯科医院、学習塾などが入り、市民の賑わいの拠点となっている。
 また3階には、市民交流の拠点として、市民交流センターや市内NPO等の活動スペース、情報ライブラリー、キッズルーム、市民健康相談コーナー、5階には、多目的ホールと市民が気軽に利用できるフィットネスジムが置かれている。
 また、4階は「大学コンソーシアムせと」の活動拠点として利用されている。「大学コンソーシアムせと」とは、瀬戸市と近隣6大学が協働して、市民に開かれた瀬戸市民のための総合大学としての役割を果たすことを目指して作られた組織である。現在、「パルティせと」において、大学の蔵書の市民への貸し出し、学生及び市民が講義を受けることができる単位互換・共同講座事業、大学共同イベントや学園祭など、「パルティせと」の賑わいを創出するイベント事業を行っている。また、まちづくりに取組む学生や教員を支援し、地域と大学を繋ぐネットワーク形成を支援する「まちづくり施策協働プログラム」など、大学・学生の知的財産や行動力により地域力の向上を目指している。一方、この取組みは、大学・学生にとっても、新たな地域貢献の場や実務的な学問習得の場として価値のあるものである。
 現在の「パルティせと」の利用者数は、1・2・6階の店舗へは平均3000人/日、キッズルームへは平均70人/日、情報ライブラリーへは平均130人/日、フィットネスジムへは平均85人/日と順調なスタートである。また、市民活動センターの登録市民団体数は104団体である。
 さらに、瀬戸市への訪問者に対し、市民による「おもてなしボランティア」が1階エントランスホールで観光や宿泊などの案内をしている。この活動は、愛・地球博開催期間中に発足し、万博終了後も400名のボランティアによって引き継がれているものである。

瀬戸市の歴史や文化を体感できる総合的産業歴史博物館 〜瀬戸蔵〜

●キッズルーム(3階)

●フィットネスジム(5階)

●瀬戸蔵
 「瀬戸蔵」がある記念橋周辺は、古くから町役場、陶磁器陳列館、郵便局などが立地する瀬戸市の要所であった。その後、市役所の移転により市民会館が建てられたが、その市民会館の老朽化が進む中、道路整備事業の実施と合わせ建替えられることとなった。
 このような背景のもと、市民会館の後継施設である「瀬戸蔵」は、「せと・まるっとミュージアム」の拠点として、「産業観光」と「市民交流」を支援する複合施設として平成17年3月にオープンした。
 市は、この「瀬戸蔵」を中心に市内の窯元など見どころを結んだ観光ルート「陶の路(とうのみち)」を設け、瀬戸市を「産業観光都市」にしようとする新しいまちづくりを進めている。
 運営主体は、指定管理者である財団法人瀬戸市開発公社であり、各フロアには現在、1階に、まちの総合案内コーナーと組合直営の瀬戸焼ショップ「せとものプラザ」、瀬戸焼の窯場(モロ)をイメージした飲食店がある。
 また2・3階に、瀬戸蔵ミュージアム、4階に多目的ホール及び会議室など、市民が利用できる施設がある。
 瀬戸蔵ミュージアムは、瀬戸焼の生産工程、生産道具、製品、歴史から、名鉄瀬戸線で昭和40年代に走っていた実物車両など、瀬戸市の産業、文化、歴史を体感できる総合的なやきもの博物館である。
 「瀬戸蔵」の入館者は、平成17年度が約64万2千人、うち瀬戸蔵ミュージアムに約7万3千人であり、平成18年度も順調である。

地域に拡がる効果
 「せと・まるっとミュージアム」の効果として、「パルティせと」及び「瀬戸蔵」の建設、観光ルート「陶の路」の整備事業、幹線道路・瀬戸川整備事業、空き店舗対策事業が一体的に進められる中で、地元商店街の意識が向上し、商店街が主体となったまちおこしの取組みがなされるようになった。特に、市内の銀座通り商店街においては、「一店逸品づくり運動」や大学との連携による学生が運営する店舗の誘致などにより、54軒のうち14軒あった空き店舗が半減し、平成13年3月に800人/日であった通行量が、平成17年3月には1200人/日と増加している。現在、市の中心市街地において、大規模小売店舗の建替えやマンションの建設など、民間投資も着実に行われつつあり、今後は、より広範囲から中心市街地へ誘客し、滞在時間の延長を図るなど、地元購買率を上昇させるための継続的な取組みが期待される。
 また、市民自らが瀬戸のまちを見つめなおすきっかけにもなり、行政や大学と連携したまちづくりに対する機運が高まっている。
 このように、まちのハード面の一体的な整備に伴い、市民・商店街・学生など多様な主体の連携による個性あるまちづくりが始まっている。

自治体DATA

●瀬戸市内地図
● 地方公共団体名:瀬戸市
● 人口/面積:132,275人/111.62km2
● 事業名:@市街地再開発事業(パルティせと)
         A市民会館建て替え事業(瀬戸蔵)
● 事業主体名:@瀬戸市 A瀬戸市
● 関係団体名(運営主体):@瀬戸まちづくり株式会社
                   A瀬戸市開発公社
● 事業年度:@H15年度〜H16年度
          AH15年度〜H16年度
● 事業総予算:
  @市街地再開発事業(パルティせと)5,804千円
  A市民会館建て替え事業(瀬戸蔵) 4,050千円
● 参考URL:http://www.city.seto.aichi.jp
お問い合せ 瀬戸市交流活力部産業課商業金融係
         TEL.0561-88-2652



パルティせと
瀬戸市都市整備部都市整備課の横山課長補佐にお話を伺いました。

「パルティせと」完成までのみちのり

●日没後のパルティせと
 「パルティせと」の具体的構想を策定する過程では、駅ビルワーキンググループによる市民へのパブリックコメントが行われるなど広く市民の声が集められました。公募による名称『パルティせと』 という名前は、パルティがフランス語の「パルティール:partire」(出発する、発信する)、これと「瀬戸」の造語で、尾張瀬戸駅前再開発事業の出発にふさわしい瀬戸の顔として力強く出発するという想いが込められています。
 日暮れと共に駅前を灯す大きなランタンのような「パルティせと」の姿は、市民と瀬戸市への訪問者のランドマークそして憩いの場というイメージにふさわしい姿です。
 また、「パルティせと」の店舗誘致については、尾張瀬戸駅から約1時間の距離にある名古屋駅を意識し、ブティック等を避け、飲食店を中心に市民にとって魅力ある顔ぶれとなるよう苦心しました。
 さらに、駅前の交通結節点としての機能も備えており、地下1・2階には各100台の駐車場が整備されています。


瀬戸蔵
瀬戸蔵の春田主査にお話を伺いました。

まちづくり拠点「瀬戸蔵」を目指して
 「瀬戸蔵」は、1階から4階まで建物内部を自然の光が差し込む吹き抜けの円形パティオと、施設を囲む幅の広い回廊(コリドール)など、来館者が明るい雰囲気に包まれる設計です。公募による名称『瀬戸蔵』という名前は「瀬戸がいっぱい詰まった所」というイメージが込められています。
 「瀬戸蔵」の人気施設「瀬戸蔵ミュージアム」に入ると、やきものづくりが盛んであった20世紀の瀬戸の町並みや工房が再現され、タイムスリップしたような懐かしさに浸ることができます。
 現在、入館者は順調に伸びていますが、瀬戸市の魅力をより広範囲に発信していくため、市外へのPRに力を入れていきたいと思っています。
 また、観光ルートの拠点だけでなく、市内の商店街のネットワークづくりの橋渡し役をすることで、商店街の活性化の拠点にもなっていきたいと考えています。
●瀬戸蔵ミュージアム ●吹き抜けの円形パティオ

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