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事例2 埼玉県三郷市

三郷市ESTモデル事業・三郷市CO2削減アクションプログラム
〜人と環境にやさしい街を創造するESTモデル事業〜

●自治体Data ●行政側の声 ●関係団体担当者の声

つくばエクスプレス開業に伴う公共交通利用促進に向けて
〜三郷市EST モデル事業〜



 三郷市は埼玉県の東南端に位置し、都心から15〜24kmのまちである。同市では、三郷JCT周辺地区における郊外型ショッピングセンター「ピアラシティみさと」(イトーヨーカドー、スーパービバホーム、ムービックス三郷など)が平成17年6月に開店し、続く8月につくばエクスプレス(以下TX)が開通するなど、市内の交通を取り巻く状況が大きく変化してきている。このような中、自動車交通の増加により、市全体の渋滞損失は年間約128億円にも上り、特に朝夕の渋滞が激しく、通過するために約20分要する交差点もあるなど、交通渋滞とそれに伴うCO排出量の増加を抑えるため、市では公共交通の利用促進や交通の円滑化を図る必要が生じてきた。
 このような状況を背景として、三郷市・八潮市地域では、平成17年度から平成19年度の3ヵ年の計画でESTモデル事業が展開されている。これは、国土交通行政のグリーン化を目指す「国土交通省環境行動計画」の取組みの一つである。この事業は、公共交通機関等の利用を促進し、自家用自動車に過度に依存しない環境的に持続可能な交通(EST:Environmentally Sustainable Transport)の実現を目指す先導的な意欲ある地域(トップランナー)に対し、関係省庁が連携して集中的に支援するものである。

三郷市地域のEST モデル事業の主な施策 
〜バス・鉄道・自転車〜

みさとはバスでエコのまち
〜バス交通利用促進関連事業〜

○抵抗感のない乗継を可能にするために〜バス路線の再編成・バス共通ICカードの導入〜
 三郷市では、バス事業の需給調整規制の廃止等の改正道路運送法の施行にあわせ、「地域コミュニティバス」を中心とした地域交通計画を策定し、バス事業者を誘導してきた。バス路線の再編成はこれまで2回実施し、第1回目の再編成前には8路線・17系統、1日870便の運行を、平成17年8月のTX開通にあわせた2回目の再編成により、24路線・48系統、1日2,100便の運行とした。これにより、乗換なしで、または、ほぼ1回の乗り継ぎで、三郷中央駅を起点に市内どこへでも所要時間20分程度で移動することを可能にした。再編成にあわせて作成された「改訂版みさとバスガイドブック」には、路線走行図や主なバス停の時刻表及び運賃が掲載されており、市内全戸及び転入時に市民課の窓口で配布され、公共施設にも置かれた。市内施設からの最寄りのバス停が分かる索引が好評である。
 また、バス共通ICカードシステムの導入に向けて実証実験を進めており、これによりバスの乗降をスムーズにし、バス相互の乗継の快適性を向上させ、バス利用を促進するとともに、バスの定時性・速達性及び周辺道路の渋滞緩和も図ろうとしている。さらに、運賃サービスや地元商店街や大型ショッピングセンターと連携したICカードによる乗継割引サービスなども検討しており、地域経済の活性化も期待される。

○「車でなければ行けない」商業施設から「車でなくても行ける」商業施設へ
〜ピアラシティバスターミナル整備事業〜

●三郷中央駅前ロータリー

●テラス型バス停留所

 平成17年6月に開店した郊外型ショッピングセンター「ピアラシティみさと」に、事業者がバスターミナルを設置し、周辺6駅及び市内住宅地にアクセスできる放射線状のバス路線が実現した。現在、ピアラシティ〜各駅間は、約300本程度のバスが運行している。このバスの運行は、ショッピングセンター事業者と、バス事業者、市役所の協働によるもので、郊外型商業施設にこれほど多くのバスが運行されることは画期的なことである。
 また、市では「手ぶらでお買い物構想」として、路線バス等利用客への手荷物宅配サービスの実施も検討中で、平成17年には関東運輸局とともに市民モニターに対し調査・実証実験を実施した。このように、「郊外型ショッピングセンターには自動車」という常識を「公共交通と宅配サービス」へと転換させる取組みも進めている。

みさとはTX・JRでエコのまち
〜駅前広場整備・公共交通情報提供システム導入事業〜

 安全で円滑な交通環境の要として、市内3駅の整備も進められており、TX三郷中央駅前広場の整備に続き、JR三郷駅と駅周辺のバリアフリー化、またJR新三郷駅駅前広場の公共交通シームレス化導入事業が進行している。三郷中央駅前広場は、タクシー及び一般車の乗降ロータリーとバスターミナルが別々に設置され、安全な歩行空間の確保や、バスの寄付きを可能にするテラス型バス停留所など、人と車両のスムーズな移動に配慮した空間となっている。
 また、三郷市の公共交通情報提供システムとは、公共交通相互の乗換利便を図るため、鉄道・バス等の運行情報と地域やまちの情報を駅舎内・駅前広場・バス停・自転車駐車場・駅前スーパーなどで提供するシステムで、平成18年度からの実施に向け関東運輸局とともに、バス・鉄道利用者や商業者等に対し調査を行っている。これにより、事前に運行情報を得られ、利用者が乗換の待ち時間を有効に活用でき、公共交通の利便性を高め、利用の促進が期待される。


三郷は自転車でエコのまち
〜自転車利用促進関連事業〜

○駐輪場の整備
 三郷市はかつて駅前に放置自転車が多く見られたが、駐輪場の整備、指導員による放置自転車防止指導や放置自転車の撤去などの方策により、現在は放置自転車ゼロを達成した。新三郷駅、三郷駅、三郷中央駅の駐輪場の収容可能台数に対する契約台数は、80〜100%と優良な状況である。今後、利用者のさらなる利便性の向上を図るべく施設利用手続き等のIT化を検討している。
○サイクルアンドバスライド促進事業

●三郷中央駅前駐輪場
 現在、サイクルアンドバスライドの取組みとして、バス停まで遠い市民のために、市内の公共空地や公園の一部等を利用した13ヶ所無料の駐輪場をバス停周辺に用意しており、約800台が収容できる。今後、市民からの要望やバス停留所付近の自転車の放置の状況に基づき、3箇所の新設を計画している。
○自転車ネットワークの形成
 市内全域で、自転車交通量の多い路線や主要施設を結ぶ路線及び市民アンケートで自転車で走ってみたいと回答のあった路線を選定し、安全で快適な自転車道の整備を進めている。さらに市では、健康づくり、スポーツ・レクレーションにおける自転車活用も進めている。

バランスの取れた円滑で快適な交通環境の実現に向けて
 三郷市は、道路行政として取り組むCO削減の具体的内容を示した国土交通省の「CO削減アクションプログラム」の重点地区にも選定されている。市はこれに基づき、平成18年度10月からエコドライブキャンペーンなど地域が一体となったCO削減の取組みを進めている。
 今後、ESTモデル事業やCO削減アクションプログラムを軸とし、市民や各事業者と連携しながら、自動車の利便性に比肩しうる快適で便利な公共交通ネットワークの構築がESTのトップランナー三郷市に期待されている。

自治体DATA


●無料駐車場の設置(設置 計画中)
● 地方公共団体名:三郷市
● 人口/面積:130,495人/30.41km2
● 事業名:三郷市ESTモデル事業
       三郷市CO削減アクションプログラム
● 事業主体名:三郷市
● 関係団体名:関東運輸局
           関東地方整備局北首都国道事務所
● 事業年度:H17年度〜H20年度
● 事業総予算: − 千円※国の事業もあるため金額不明
● 参考URL:http://www.city.misato.saitama.jp/
お問い合せ 三郷市環境経済部交通対策課
         TEL.048-953-1111


行政側の声
三郷市環境経済部交通対策課の大野副参事兼課長補佐にお話を伺いました。

ESTモデル事業の目標達成に向けて
 ESTモデル事業の掲げる3年間の目標達成のためには、商業者や交通事業者及び市民との連携が必須です。例えば、検討中のバス共通ICカードシステムの導入に際しては、運賃サービスや地元商店街や大型ショッピングセンターと連携した割引サービスも取り入れていきたいと考えているので、多くの商業者や交通事業者の参加を呼びかけています。また、市民に対しては今後、CO2削減アクションプログラムにおけるキャンペーンやワークショップの実施などにより、広くマイカー利用の抑制と公共交通利用の促進をPRしていきたいと考えています。

ESTモデル事業の目指すものは
 脱自動車を目指すのではなく、市民が状況に応じて、バス・鉄道・自転車・徒歩・自動車から、自由に最適な交通手段を選択することができるバランスの取れた交通環境を創造することを目指しています。そのために、公共交通機関の円滑性と快適性を向上させていきたいと考えています。

修理サポート施設「自転車工房」

●自転車工房
 三郷市は、EST事業において自転車施策にも力を入れており、自転車本体の安全を確保するための自転車の修理サポート施設「自転車工房」を平成16年4月に三郷駅北口にオープンしました。この施設は、シルバー人材センターが運営しており、自転車の無償点検整備・有償修繕・リサイクル自転車の販売・各種情報提供などサービスが充実しており、親切かつ低料金であると、オープン当初から利用者数は伸び続け、平成17年度の延べ利用者は4,306人でした。平成18年度は多い月には1日800人にのぼり、11月末までの延べ利用者は4,917人とすでに昨年度を上回っています。市では自転車利用促進を図るため、これからも自転車利用者にも歩行者にも安全な自転車環境づくりを進めていきたいと考えています。


関係団体担当者の声
関東運輸局交通環境部環境課の島田課長にお話を伺いました。

ESTモデル事業について
 EST モデル事業は、現在全国で21地域が採択されており、関東運輸局管内では三郷市・八潮市地域と、柏市・流山市地域が平成16年に、神奈川県と神奈川県秦野市が平成17年に採択されています。
 この事業の特長は、@関係省庁、関係部局の横断的な連携により支援を行う点A環境目標の設定・検証及び取組効果の持続性を求め環境の観点から施策の効果を確保する点B自治体・地元経済界・道路管理者・警察関係者・NPO など地元の幅広い関係者が参画して事業を推進する点等が挙げられます。
 例えば支援する側の横断的な連携により、従来は各事業のメニュー1つ1つに行った支援が、複合的に組合せることにより、より効果的に環境対策を行うことができるといった利点があります。
 また、PDCAサイクルによりフォローアップを行い、モデル事業の効果を検証することとしています。
採択モデル事業への期待
 このEST モデル事業は、国が先導的であると認定した事業について3年間助成するものですが、採択された地域には、地域の持つ特性を効果的に発揮して頂き、さらなる事業を展開して頂けるものと期待しています。そのため関東運輸局がリーダーシップを発揮して、事業推進に関するアドバイスなど側面的支援も積極的に行っていきたいと考えています。

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