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事例7 愛媛県

愛媛県在宅介護研修センター
遊休施設を活かした施設で行う、指定管理者の経験と能力を活かした研修

●自治体Data ●行政側の声 ●指定管理者(実際に管理運営する方々)の声


●愛媛県在宅介護研修センターの外観
指定管理者制度導入の背景
 介護保険制度の普及に伴い、要介護認定者は年々増加し、それに伴って介護給付費も急増している。このため、地方公共団体の財政負担や被保険者の保険料負担は更に厳しくなると予想されるが、社会的なコスト削減から見ても介護給付費の増加の抑制をはかることが必要となっている。また、「高齢者一人一人の尊厳を支えるケア」が確立される社会に向けての取り組みも求められている。
 このような状況を踏まえ、愛媛県では、加戸知事が提唱する県民がお互いに助け合い支え合う「愛と心のネットワーク」づくりの理念に基づく地域ケア体制の実現に向け、介護ボランティアなどを育成することや高齢者介護に携わるすべての人に対し、介護を受ける側の立場にこれまで以上にシフトした新しい理念に基づく研修を実施することを目的に平成16年4月「在宅介護研修センター」(以下「センター」という。)を設立した。
 センターで行う研修事業については、高齢者を在宅で介護している家族をはじめ、介護に携わるボランティアや専門職を対象として、これまで以上に介護を受ける側の視点に立った研修を行うため、研修の実施に当っては高度な能力、経験を有するスタッフを必要とした。また、研修の場と研修理念に基づく介護の実践の場を並行して体験できる機能を確保するため、研修事業のほか、デイサービスなどの事業を実施することが計画されたが、研修事業と介護サービスは、綿密な連携を図りながら運営する必要があり、これを同一の団体により実施する必要があると考えた。
 これらのことから、事業や施設管理を県が直接実施するのではなく、指定管理者制度を導入することで、高度な能力、経験を有する民間に管理運営を委ねることとした。なお、センターは、愛媛県で指定管理者制度を導入した初めての施設となった。

選定までの取り組み
 平成15年12月議会において愛媛県公の施設の設置及び管理に関する条例の一部を改正し、新たに愛媛県在宅介護研修センター管理条例を制定、指定管理者募集要綱を作成のうえ、12月24日から翌1月23日まで公募を行い、現地説明会を開催した。結果4団体からの応募があり、指定管理者選定審査会において申請書類とプレゼンテーションにより審査し、候補者を選考した。
 選考では、[1]センターの管理を適正かつ確実に行う物的能力及び人的能力を有している[2]管理計画書の内容が、センターの設置の目的を効果的、効率的に達成することができる[3]県民の平等な利用が確保される[4]経費の縮減が図られるなどを選定基準とし、「NPO法人愛と心えひめ」が最終的に選定され、平成16年4月1日同法人を指定管理者に指定した。なお、募集要綱の作成にあたっては、募集団体によって受け取り方が違うといったことがないよう募集の内容が正確に伝わるよう、文章表現や添付資料に留意した。

指定管理者による施設の管理運営状況
 指定管理者となった「NPO法人愛と心えひめ」の設立目的は、在宅高齢者の介護や、子育て支援を必要とする人々に対し、住民参加と相互扶助の精神に基づき、ボランテイアが支える福祉サービス活動を中心に、安心して暮らしていくことのできる福祉のまちづくりを推進し、地域福祉の向上に寄与することとなっている。施設の運営は、正職員11名、臨時職員4名で研修事業及び自主事業を実施しており、研修室長一人を除いて全員地元採用である。
 センターでは、研修の場と研修理論に基づく介護の実践の場を並行して体験できる機能を持ち、介護の実践の場として自主事業でデイサービス事業などを実施している。多くの県民に参加していただくよう、研修参加に係る経費は無料ないし、資料実費としており、研修などで宿泊する場合は、1泊1,500円としている。なお、センターの管理運営に係る経費は、県の委託料から全額支出さており、利用料金制は導入していない。また、介護専門職を対象として自主事業によるセミナーを行い、多数の参加者を得ている。

導入後の効果や今後の課題
 指定管理者が実施した平成16年度の事業実績については、指定管理者の努力もあって約7,000人の研修参加者となった。受講者の3分の1ほどがリピーターとなっていることも、提供している講座に対する期待の現れであり、企画しているものが今求められているものであることを立証していると言える。
 また、地域で開催した講座には、3日間で1,472名という多数の参加者を集めたものもあり、センターのある松山市以外の今まであまり研修が行われていなかった地域での研修開催が大きな反響を得ている。
 そのほか介護の実践の場としてのデイサービス事業との連携もうまく機能しており、デイサービスの場が、「すぐに役立つ介護講座」などの修了生たちの介護ボランティアとしての研鑚の場となり、研修生が地域のボランティアとして育っていくことを期待したい。


●研修会の様子

●研修している受講生たち
自治体Data
●自治体名:愛媛県
●人口/面積:1,490,831人/5,677.03km2
●施設名:愛媛県在宅介護研修センター
●施設所在地:愛媛県松山市末町甲9番地1
●指定管理者名:特定非営利活動法人 愛と心えひめ
●指定期間:平成16年4月1日〜平成21年3月31日
●募集方法:公募
●利用料金制:導入してない
●自治体から指定管理者への支出:有
●参考URL:http://iyocom.jp/aitokokoro.e/
お問い合せ 愛媛県保健福祉部生きがい推進局長寿介護課
TEL 089-941-2111

行政側の声 愛媛県保健福祉部長寿介護課の元山係長にお話を伺いました。


●お話を伺った皆さん
○制度導入や、募集から指定までに苦労した点は
 本県で初めて指定管理者制度を導入した施設であり、他県の事例なども参考にしながら適確な導入ができるよう準備を進めたところです。

○行政として、指定管理者制度に対する考え・意見(メリット・デメリットなど)
 開設1年目の16年度の研修参加者は、約7,000人となっており、指定管理者が熱意を持って研修に取り組んでいる成果だと考えます。研修講師に県外から著名な講師も招くなど、介護を受ける側に立った理念が広く県民に浸透するよう工夫がなされています。

○指定管理者の運営に対する考え(期待や要望など)は
 指定管理者には、引き続き質の高い実践的な研修を数多く企画していただきたいと思います。今後とも、県民が相互に助け合い支え合う「愛と心のネットワーク」の構築のため指定管理者において介護家族、介護ボランティア、専門職などに対して質の高い研修を続けられ、地域ケア体制の確立が図られればと考えます。

○指定管理者に対する行政側の支援・指導・関わり方などはどのように考えていますか
 一般県民に研修センターを周知するため、県広報誌や各種会議、研修会などにおいて研修センターの研修事業等の広報を行っています。

○今後の課題や取り組みなど
 今後も高齢化は進みます。高齢者の尊厳を支えるケアの理念と方法を介護に携わるすべての人に普及させる研修を行い、地域ケア体制を支えるボランティアなどの人材を養成する研修センターの存在意義はますます高まるものと考えます。今後とも多くの県民に研修に参加していただき、地域ケア体制が整備されればと考えます。


●研修室

●施設内のトイレ

●民間の遊休施設を再利用

指定管理者
(実際に管理運営する方々)の声
NPO法人 愛と心えひめ理事長の桝田さん、研修室長の金田さん、介護室長の村上さんにお話を伺いました。


●講習会
○指定管理者に応募した理由は
 愛媛県の高齢化率と施設整備並びにその他の介護サービスの量を考えると、介護保険サービスだけを利用して老後を支えていくことには限界があり、加戸知事が提唱する「愛と心のネットワーク」の一環として地域で支えるシステム作りと、それを支えるボランティアグループの養成が急務と思っていました。そしてその土台となる県民の老いや介護に関する意識改革を含めた研修も必要ではないかと考えました。そのようなことから研修センターは、長い間愛媛県に必要とされていた介護のあり方・考え方が実際に体験して学べる場所になりうると考え応募しました。

○指定管理者に選定されたポイントは何だと思いますか
 研修の内容が在宅での生活に即したより実践的で人間の尊厳を探求する研修内容となっていることや県内講師に加えて県外の講師を招聘し、新しいスタイルの研修を実施しようとしていたことなどが評価されたのではと考えます。

○管理運営で心掛けている点や苦労している点など
 できるだけ多くの方に研修に参加していただけるよう、質が高く実践的な研修を様々企画しているほか、研修情報の発信の仕方に留意しています。研修情報については、研修センターのホームページに掲載するほか、県の「愛媛ボランティアネット」を活用しての発信もしています。このほか、県広報誌、市町広報誌、ミニコミ誌にも研修内容を掲載していただいています。研修はその半数以上が初めての受講者であり、会を重ねるごとに研修センターの認知度は上がっていると考えます。地域の方に身近に研修を受けてもらうため、各地の県民介護講座などに講師派遣を積極的に行っております。これからも新しい介護の理念、技法を県下に広めていきたいと考えます。

○指定管理者制度に対する考え・意見
 専門知識、経験を有する民間などの団体が、公の施設の管理を委任され、能率的、効率的な管理運営がなされることは、住民サービスの向上や経費節減につながりよいことだと考えます。

○行政や地域住民との関わりは
 県をはじめ市町などには、研修の広報などで協力をお願いしています。
 多くの県民の方に研修に参加していただき、研修受講者には、地域の介護ボランティアなどとして育ってもらい、高齢者一人一人の尊厳を支える地域ケアの確立がなされるよう努力していきます。


●介護研修用のお風呂

●研修風景

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