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事例6 島根県

島根県立石見海浜公園
財政の健全化と、指定管理者による公園の新しい魅力づくり

●自治体Data ●行政側の声 ●指定管理者(実際に管理運営する方々)の声


●島根県立石見海浜公園
指定管理者制度導入の背景
 島根県立石見海浜公園は、島根県西部の石見地方に位置し、全長約5.5km、敷地面積146.7ha(現在開設されている区域)と、浜田市と江津市をまたがる広大な都市公園である。その広大な敷地と自然環境を活かしながら、海水浴場をはじめ、オートキャンプ場やケビン、テニスコート、水族館などの多彩な施設が整備されている。
 当該施設は、県民の福祉の増進に資することを目的とする県立都市公園の一つで、昭和46年12月都市計画決定された後に整備がすすめられ、昭和54年7月一部について開園した。その後も昭和57年に開催された「くにびき国体」を契機に整備も促進され、整備された区域から供用を開始し、現在まで多くの県民に利用されている。
 当該施設の管理は、これまで(財)島根県観光開発公社に管理委託をしてきた。しかしながら、景気低迷による県税や地方交付税の伸び悩みなど、県財政をとりまく環境が厳しくなったことを背景に、島根県では財政の健全化の取り組みの一つとして、外郭団体の見直し及び指定管理者制度の導入が進められた。これにより、既存の委託施設を含む35施設について制度導入の検討を行った結果、22施設について平成17年4月より制度を導入することとなった。石見海浜公園についても対象の施設として指定管理者制度を導入することとなった。

選定までの取り組み
 指定管理者制度の導入に向けて、各対象施設で取り組みが始まり、石見海浜公園を含む県立都市公園についても平成16年10月に島根県立都市公園条例の改正を行った。島根県としても制度導入の紹介や、導入する全施設に対する指定管理者の募集について積極的な情報提供を行い、県広報紙やホームページをはじめ、地元新聞にも大きく掲載して周知を図った。
 石見海浜公園では、11月中旬から約1ヶ月間、指定管理者の募集を行った。この間に制度導入についての説明会も開催した。説明会は3つの県立都市公園の合同説明会ではあったが、39の企業・団体から参加があった。そして、最終的に石見海浜公園に対しては、4団体からの応募があった。
 指定管理者の選定は、[1]管理運営の体制、[2]自主事業の実施計画、[3]利用者へのサービス向上[3]管理運営費などを選定基準とし、書類審査とプレゼンテーションにより選定を行った。県土木部に選定委員会を設置し、4団体の審査が行われ、その結果、平成17年2月に指定管理者の候補者として(株)ISPが選定された。その後、平成17年3月に議会の議決によって同社を指定管理者に指定し、協定書が締結された。

指定管理者による施設の管理運営状況
 (株)ISPは、浜田市内の建設業者など5社が出資して設立された会社である。説明会では個々で参加していたが、その後、参加していた5社が協議して、指定管理者の選定に向け協力していくことになった。現在のところ職員は正職員4名、臨時・パート18名の22名であり、この中には地元住民やこれまで施設管理してきた(財)島根県観光開発公社の職員も十数名雇用されている。
 施設の管理運営にあたっては、[1]将来にわたる持続性を考えた管理、[2]利用価値を最大限に高める運営、[3]公共的立場の維持と民間活力の融和、[4]総合的な相乗効果によるコスト削減、の4項目を基本方針として取り組んでおり、一方で地域住民との協働や各種団体との協力による管理運営なども視野に入れている。
 また、従来から行われていたイベントも継続して行う一方で、地域住民や団体と協力しての新規のイベントも実行している。特に平成17年6月に市民団体などと「100万人のキャンドルナイト in はまだ」を、9月には浜田ライフセービングクラブと「第1回ライフセービング・チャンピオンシップス」を開催している。公園の管理だけに留まることなく、施設の新しい魅力づくりのため、公園を拠点にした利活用も積極的にすすめながら、利用者の増加を図っている。
 このほかにも、利用者の視点に立ったサービスを図るため、公園内に設置している大半の自動販売機をユニバーサルデザイン仕様に変更している。また施設のホームページもリニューアルして、情報発信を行っており、今後はキャンプ場のインターネット予約についても検討している。

導入後の効果や今後の課題
 指定管理者制度を導入した効果としては、やはり財政面での節減が挙げられる。石見海浜公園における指定管理者への委託額は、当初1億7,360万円以内を予定していたが、 (株)ISPからは約2,900万円低い1億4,416万円での応募あり、結果、指定管理者制度導入により、平成16年度の管理費に比べ5,631万円(約28%)の節減が図られている。島根県全体でも、指定管理者制度導入により年間約5億円の節減効果があった。また、地元の業者が指定管理者に指定されていることから、地元住民とのつながりなども持ちやすく、公園内でのイベントや清掃ボランティアなどを通じて協力体制も築かれつつある。
 現在のところ、指定管理者は、広大な施設を、安全管理やトラブルなどに常に配慮しつつ、適切な管理運営を心掛けている。しかしながら、公園という施設の性質上、利用者が増えたとしても、必ずしも収益が増えるわけではないことや、利用者が増えてきた場合には施設管理もより徹底しなくてはならないことなど、採算面を考慮しなくてはならない民間企業にとっては、運営上厳しい一面もある。
 一方、行政でも施設の管理運営が指定管理者まかせにならないよう、管理運営に積極的に関わっていくために、定期的に管理運営に関する打ち合わせや、実地調査などを行うこととしている。
 今後は、シーズンオフの集客など課題もでてくると思われるが、県、指定管理者、さらには地元住民・団体との協働により、利用の促進や地域のニーズに対応した施設の整備・管理運営が図られることが重要であると思われる。


●100万人のキャンドルナイト in はまだ

●第1回ライフセービング・チャンピオンシップス
自治体Data
●自治体名:島根県
●人口/面積:744,702人/6,707.52km2
●施設名:島根県立石見海浜公園
●施設所在地:島根県浜田市、江津市
●指定管理者名:株式会社 ISP
●指定期間:平成17年4月1日〜平成20年3月31日
●募集方法:公募
●利用料金制:導入している
●自治体から指定管理者への支出:有
●参考URL:http://www.kkisp.jp/index.html
お問い合せ  島根県土木部都市計画課
TEL 0852-22-5210

行政側の声 島根県土木部都市計画課の筒井主幹にお話を伺いました。


●都市計画課 筒井主幹
○制度導入や、募集から指定までに苦労した点は
 やはり、平成17年4月の指定管理者制度の導入に向けての準備期間が短かったことです。条例改正や募集要項の作成、また予算上の整理など、多忙な日々が続きました。新しい制度でもあったことから、他の施設の担当者と情報交換をしたり、島根県の施設の中で先行して指定管理者制度を導入した事例などを参考としながら取り組んできました。

○行政として、指定管理者制度に対する考え・意見(メリット・デメリットなど)
 コスト削減が図られる面では、かなり大きな効果があると思われます。しかしながら、行政としては、コストが削減されても公園の安全管理が徹底していなければ意味がありませんので、その点については指定管理者にも留意していただきたいと考えております。

○指定管理者の運営に対する考え(期待や要望など)は
 施設利用者の声や、地域住民のニーズや意見などに敏感であってほしいと思います。そういったことの積み重ねが、サービスの向上につながるのではないでしょうか。また、確実な施設の保守についても心掛けてほしいと思います。
 地域住民や団体などと協働でのイベントなども積極的に進められているので、このような地域住民と連携した活動には期待しています。

○指定管理者に対する行政側の支援・指導・関わり方などはどのように考えていますか
 厳しい財政状況の中では、予算上の支援などは簡単にできない状況ですが、行政と指定管理者が互いに知恵を出し合い、利用促進が図られるような取り組みをしていかなければならないと考えています。
 いずれにしても、指定管理者にまかせきりではなく、積極的に管理運営には関わっていく必要があると考えます。そのために、指定管理者と定期的な打ち合わせを持ったり、実地調査などを行ったりすることで、情報交換や管理運営状況を把握することとしています。

○今後の課題や取り組みなど
 現在のところ、指定管理者も、特に問題なく管理運営を行っていると思われます。特にイベントなどの自主事業は積極的に行っていると思います。しかしながら、石見海浜公園は夏場がシーズンであることから、今後シーズンオフを迎えるにあたって、今後の利用促進をどうするか検討していく必要があると思います。
 また、施設の管理運営の状況把握については、行政としても今後とも留意していきたいと考えております。


●公園内の海岸

●オーシャントライブの模様

指定管理者
(実際に管理運営する方々)の声
株式会社ISP 代表取締役(公園長)の森川さんにお話を伺いました。


●森川公園長
○指定管理者に応募した理由は
 景気が悪化し、公共事業なども減少するなかで、従来の建設業だけでなく、新しい分野の開拓をしていく必要があると考えたからです。この施設の管理運営だけで利益が生じるとは考えていませんが、この施設の管理運営をきっかけに、新しい事業展開が見えてくればいいと考えております。

○指定管理者に選定されたポイントは何だと思いますか
 地元に密着した業者であったという点でしょうか。

○管理運営で心掛けている点や苦労している点など
 民間企業である以上、当然のことですがコスト意識は常に持つようにしています。ただし、そのためにサービスの低下や、トラブルが起きないように常に配慮はしております。特に石見海浜公園は広大な敷地で、様々な施設が整備されていますので、その点は大変ではありますが、心掛けています。
 指定管理者として指定されている以上、安全管理には責任もって取り組む必要があり、今後の評価にもつながるので徹底していきたいと考えます。

○指定管理者制度に対する考え・意見
 方向的にはいいことだと思います。やはり、従来どおりの管理では改善されにくい面や、硬直している面などがあると思います。この制度によって、公の施設は行政で、といった枠がはずれることで、そういった点がよくなっていけばいいと思います。我々としても、行政と同じというよりは、行政にはないような特色が上手く出していければいいと思っています。
 また一方で、この制度は民間企業にとっては新しいビジネスチャンスかもしれませんが、実際にそんな簡単なものではないので、安易な気持ちではできないし、またそうであってはいけないと思います。

○行政や地域住民との関わりは
 行政とはやはり、良きパートナーでありたいと考えております。ですから、行政からの指示や意見などを取り入れる一方で、実際に管理運営している者として、改善していきたいところなどは、逆に行政に提案できればと考えています。そうすることで、施設自体の発展ができると思います。
 また、地域住民の方々とも、協働しての活動を積極的にすすめることで、管理運営に対して理解や協力が図れるよう努めたいと思います。


●ユニバーサルデザイン仕様の自動販売機

●学生や地域住民によるプランター作り

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