前へ戻る目次へ次へ進む
事例2 福島県 磐梯町

磐梯町介護老人保健施設「りんどう」
安心して暮らせる医療の確保と、地域に根付いた地域医療の振興

●自治体Data ●行政側の声 ●指定管理者(実際に管理運営する方々)の声


●磐梯町介護老人保健施設「りんどう」の外観」
指定管理者制度導入の背景
 会津盆地と猪苗代湖のほぼ中間に位置する磐梯町。この町のほぼ中心部、JR磐梯町駅から車で10分ほどのところに磐梯町介護老人保健施設「りんどう」は位置する。 無医村の時期があった磐梯町では、昭和61年に自治医科大学出身の医師を招聘し、磐梯中央医院が開設された。ところが、平成8年にこの医師が逝去されため、町では、県をはじめ自治医科大学、関係機関などの協力を得ながら地域医療の確保を図ってきた。
 その後も、少子高齢化の進行、介護保険制度のスタートなど、保健・医療・福祉に対するニーズが多様化していくなか、町では、町民が健康で生きがいを感じ、安心して暮らせる地域づくりのため、長期的な地域医療の確保とともに、保健医療福祉の一体的な運営も進めることとなった。
 平成12年3月に磐梯町保健医療福祉計画を策定し、質の高い保健医療福祉サービスの提供を図る基本方針のもと、その拠点となる複合施設として磐梯町保健医療福祉センター「瑠璃の里」の整備に着手した。平成12年4月にデイサービスセンター・在宅介護支援センターを、平成13年12月には医療センターを開所した。そして平成15年11月に、磐梯町介護老人保健施設「りんどう」が開所した。
 「りんどう」については、既に開所している施設と同様の管理委託をする予定であった。しかしながら開所2ヶ月前に地方自治法の改正により指定管理者制度が施行されることとなり、公の施設について制度の導入の検討が必要となったため、新規施設である「りんどう」についても、導入について検討が必要となった。このため、町では施設整備を進めると同時に、制度導入のための取り組みも行うこととなった。

選定までの取り組み
 磐梯町では初めての制度導入であったため、苦労しながらも、制度の概要から、目的や効果、また問題が生じたときの指定管理者への対応などを確認しながら取り組み、平成15年9月には指定管理者制度の規定を含めた磐梯町介護保健施設条例を制定した。
 指定管理者には、平成12年4月より「瑠璃の里」の管理委託をしてきた社団法人地域医療振興協会を候補者として選定し、平成15年10月の臨時議会の議決により、磐梯町介護老人保健施設「りんどう」の指定管理者として指定し、協定書を締結した。
 選定には、施設の背景や性格などから公募はせず、協会の組織体制や専門性はもちろんのこと、地域医療に対する取り組みなどから事業効果が期待されると判断し、指定管理者に指定した。これまでの施設運営や町に対する協会の貢献度なども評価され、最終的には指定まで至った。

指定管理者による施設の管理運営状況
 社団法人地域医療振興協会は、へき地を中心とした地域保健医療の向上のため、地域保健医療の確保と質の向上を図るなど、住民福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的に活動している団体である。その活動の一つとして、自治体から委託を受けて病院などの管理運営も行っており、「りんどう」以外の施設でも管理運営をしている。
 「りんどう」は、病院での入院治療を必要としない、病状の安定したお年寄りに対して自立を支援し、家庭復帰の手伝いをする施設である。施設内には一般病床56床、認知症専門44床の計100床、リハビリ・レクリエーションルームなどの設備を有している。現在のところ介護士や理学療法士をはじめ職員60名ほどが勤務し、利用者の支援を行っている。また、医療センターとも連携を図りながら、トータル的なケアも行っている。
 「りんどう」を含む保健医療福祉センター「瑠璃の里」では、[1]地域住民の健康増進、保健、医療、福祉まで包括ケアを行うこと、[2]常に住民のニーズを把握し、職員の質の向上に努め、良質なサービスを提供すること、[3]地域社会においてもっとも信頼されるセンターを目指すこと、を基本理念に掲げている。この基本理念に基づき、地域に根付いた施設となるよう日々努力しており、利用者の視点に立ったサービスを心掛け、職員の育成にも力を入れている。
 また、地域との結びつきを図るため、通常の運営以外にも、施設内において夏祭りを開催して職員と利用者や地域住民とのコミュニケーションを図っており、また、利用者が少ないときなどには、地域住民などにコミュニティの場として施設を利用させることも行っている。

導入後の効果や今後の課題
 指定管理者制度を導入した効果を考えた場合、併設の施設の管理運営を受託していることもあり、基本的に従来どおりの運営ではある。しかし町にとっては、平成15年度には経費補助しているものの、平成16年度以降支出はないため、財政上の節減は図られている。また指定管理者の組織自体が大きく、人材育成や運営に対するバックアップも充実していることから、町が直営に行うより、効果的な運営やサービスの提供が行われている。特に、過去に医師が不在の時期があった町にとっては、心配なく人材の確保ができることは大きいと思われる。さらに、職員を雇用する場合も基本的に地域住民を雇用することとしており、地域の雇用拡大にも留意している。
 将来的に健康増進施設の整備も予定しており、複合施設として更に機能が高まることが期待されているが、保健・医療・福祉をとりまく制度や環境の変化に対応しながら、現状のサービスを低下せず施設の管理運営を維持していくことが課題でもある。いずれにしても、今後も地域住民が安心、満足して利用してもらえるような施設運営が継続されることが期待される。

●「りんどう」内の様子

●リハビリ・レクリエーションルーム
自治体Data
●自治体名:磐梯町
●人口/面積:4,021人/59.69km2
●施設名:磐梯町介護老人保健施設
●施設所在地:福島県耶麻郡磐梯町大字磐梯字諏訪山2926番地
●指定管理者名:社団法人 地域医療振興協会
●指定期間:平成15年11月1日〜平成18年3月31日
●募集方法:公募してない
●利用料金制:導入している
●自治体から指定管理者への支出:無
●参考URL:
お問い合せ 磐梯町行政管理課総務グループ
TEL 0242-74-1211

行政側の声 磐梯町から派遣されている小林事務部長にお話を伺いました。


●小林事務部長
○制度導入や、募集から指定までに苦労した点は
 地方自治法が改正してから間もない時期での制度導入であったため、制度に関する資料も少なく、事例もなかったため、大変苦労しました。従来の管理委託との違いや、指定管理者の業務としてどんなことができるのか、また、指定管理者が問題を起こした場合にはどのような取り扱いになるのかなど、留意しながら取り組んできました。

○指定管理者の運営に対する考え(期待や要望など)は
 指定管理者として指定されたからには、責任をもった管理運営を行っていくべきと思います。単なる施設賃貸ではないので、行政側とも連携をとりながら、利用者あっての施設であることに留意して管理運営を行ってほしいと考えます。苦情があった場合も真摯に対応して、地域から信頼されるような施設であって欲しいものです。 また、類似施設や事業に対しても競争ができるような事業展開をしていければと考えております。

○指定管理者に対する行政側の支援・指導・関わり方などはどのように考えていますか
 これまで問題なく管理運営をしていると思いますが、行政としても、適切に管理運営されているか、運営上何か問題が起こっていないかなど把握はしなくてはならないと思います。指定管理者に委託しているとはいえ、やはり町の公共施設であり、今後の事業展開など町も責任を持って関わっていく必要があると考えますので、これからも連携を密にしていきたいと思います。

○今後の課題や取り組みなど
 現状に満足することなく、地域住民が安心できるような医療体制を心掛け、満足して利用してもらえる施設になって欲しいです。また、町の公共施設の中でも、地域に対する施設のあり方など先駆的な存在になってほしいと思います。
 今後は、施設の運営に対する支援ボランティアなど、地域の方々が施設に関わりを持てるような体制づくりも築けたら良いと考えております。

●施設内での活動

●地域の利用者の皆さん

指定管理者
(実際に管理運営する方々)の声
社団法人 地域医療振興協会(磐梯町保健医療福祉センター長)の屋島先生にお話を伺いました。


●センター長 屋島先生
○指定管理者制度導入前と導入後で何か変わった点はありますか
 運営内容が大きく変わったわけではありませんが、指定管理者に指定されたということで、その自覚を持ち、サービスが低下しないよう、日頃から努力しています。何か問題が生じれば指定を取り消されることもありますので、自覚は常に持っています。

○管理運営で心掛けている点や苦労している点など
 まずは、利用者の利益を第一に考えています。磐梯町介護老人保健施設「りんどう」を含めた施設間の連携を図り、保健・医療・福祉による総合的な包括ケアが行えるように努めています。そのためには、施設間の連絡を密にし、効率的なケアのための情報交換をしていかなくてはならないと考えますが、個人情報保護法が施行されたことにより、個人情報の取扱については、利用者の方々にも理解していただくよう努めておりますし、今後も留意していきたいと思います。

○指定管理者制度に対する考え・意見
 行政の方々も、厳しい財政状況のなかで効果的な施設運営を図るために、確実な運営能力やサービスの向上など検討しながら、制度導入や指定管理者の指定に取り組んでこられたと思います。ですから指定管理者に指定された我々としても、その点に留意しながら、公の施設の管理運営を行う者として、緊張感を持って仕事をしなければならないと思います。

○地域との関わりは
 施設周辺の地域に集会場がないので、施設の利用があまりない時間帯などには、地域のコミュニティの場として提供もしています。また、行政・地域関係団体のご協力をいただきながら、施設で夏祭りを開催しています。これにより、施設利用者の方々の慰安はもちろんですが、地域住民の方々にも楽しんでいただき、職員と地域住民の方々との交流が図れればと思っています。私自身も磐梯町に移住してきてからは、地元の行事などには進んで参加して、地域の方々とのコミュニケーションを図るように心掛けています。

○行政との関わりは
 磐梯町とも良い関係で、連携をしながら管理運営を進めています。ただ、町でも定期的に人事異動があるので、担当者が変わる際には引継ぎをよろしくお願いしたいと思います。


●リハビリテーション

●施設で行った夏祭り

トップはじめにご利用にあたって特集9事例全国50事例都道府県別目次